カランコロン

二人の下駄の音が鳴る

「なんか二人っきりって久しぶりね。」

「あぁ、そうだな。」

結婚してすぐにが産まれた。

それからは育児にそして俺は仕事に追われる毎日だった


「日本のお祭りも何年ぶりかしら?」

「今日は昔の二人に戻ったつもりで楽しもう」

「嫌よ」

「?」

「別に昔の私たちに戻る必要はないわ。今の私たちでいいじゃない。」

・・・」

「だって私たちラブラブだもん!」

「そうだな」

カランコロン

祭りが催されている寺へゆっくりと歩く

「わぁぁぁぁ!!カノン!!カノン!!お祭り!!お祭りだよ!!」

急に人が増えだし賑やかな場面が目に飛び込む

夜のはずなのにまるで昼みたいに明るく

行き交う人々はのように浴衣を着た人間も多い

まるで少女のようにはしゃぐを”可愛い”と思った

「そのお祭りに来たんだろう?」

「そうだけど!キャァ〜!綿アメ〜!!ねっ!ねっ!!早く行こう!!」

俺の裾を引いて急ぐよう言うに逆らえるはずがなく気がすむまで付き合うつもりだ

「わかったから。あんまり急ぐとこけるぞ?」

「むっ。こけないわよぉ〜うわっ!!」

言っているそばから小石につまずいてこけそうになるのを

「ほら見ろ。言ったばかりだろ?」

手を引き止める

「ご・・ごめん。」

「相変わらずお前は危なっかしいな。」

「だからごめんって」

「ダメだ。悪いが手は離してやれんからな」

そう言って痛くない程度に力を入れるみるとそれが嬉しかったのか笑顔になる

「うん!!」

「まったく―――」

―――そうやって俺の理性を保てなくするんだよなお前ってやつは―――

そうして俺たちの祭りはスタートする



カランコロン

もう下駄の音は聞こえないぐらい辺りは騒々しい

「綿アメGET!!次はぁ〜・・・・」

辺りをキョロキョロしながら次のターゲットに狙いを定める姿は子供そのものだった

「焦らずゆっくり探せばいい」

「カノンは何がしたい??」

目をキラキラと輝かせて俺に意見を求める

「俺はとこうやって日本の祭りに来れただけでいい」

「え〜!!折角来たんだから楽しまなきゃ損だよ!ソ・ン!」

「あ・・・あぁ。」

まるでストレスを発散させるようにははしゃいだ

いつもはもっと落ち着いていて

日本の女性らしくいつも夫である俺を立ててくれていた。

だが今は違う

決して俺の前を歩かなかったがだ

今では俺の手を引いてずんずんと人並みを器用に掻き分けて歩いている。

だがそんなを知れて俺は嬉しかった

「あっ!!金魚すくいだ!!あれがしたい!!」

「キンギョ・・?」

「うん!!おじさ〜ん!一回ね!!」

「あいよ!頑張ってすくってやってくれよ!」

そういって差し出されたのは何だ?あれは・・針金を輪っかに作った間に・・・紙?

「よぉ〜しっ!!」

裾を捲し上げて行き成りその場に座りこむ

「おいっ!何を――」

慌てて止めに入ろうと思った俺の目の前に飛び込んできたのは

の浴衣と同じ

赤い魚だった

「これが・・キンギョか?」

「そうよっと。あ〜なかなか上手く掬えないなぁ〜!」

それは素早く逃げ泳ぐ

「魚・・アフロディーテか?」

「違うわよ!あ〜!!破れちゃったぁ〜」

紙は破れ左手に持っていたボールの中に入っている金魚は

「残念!でも、掬った分は持って帰れるからね!何匹かな?」

「3匹っ。」

オヤジにボールを私得意げに言う

「はいよっ、大事にしてくれよ」

「ありがとう!!」

「おう!あんちゃんと幸せになっ!」

最近のオヤジはそんなことまで言うのか?

俺達は軽く会釈をしてその場を後にする

「見てみて!この大きいのがカノン!で中くらいのが私、そして一番小さいのが!!」

「本当だ。まるで俺たちのようだな」

俺に良く見えるように高く上げられたキンギョは本当に俺たちのようだった

「よぉ〜しっ!!次はぁ!水ヨーヨー!!」

目的の水ヨーヨーをつり上げの分も取っていた。

好きな模様のヨーヨーを取れたは大満足の顔をする

「良かったな」

「うんっ!!」

この笑顔が見たかった。が産まれてからずっとに育児を押し付けていた部分もあった



「ん〜??」

先ほど買った綿アメを少しずつ食べながら歩く

「ごめんな」

「何が?」

「これからはの面倒もそしてお前のこともちゃんと見るから」

「・・・・・」

返事がない?

「辛かったぁ・・・」

「っ!!」

握られた手が震えうつむくの足元が涙で濡れる

「何もかもが初めてで不安で・・・本当は一緒に居てほしいけどカノンには仕事があるから我が侭言えないし・・・

でも、それでも一人じゃ嫌なの!!」

!!」

「だって私と貴方の子よ!?大切な娘よ!!」

「すまなかった」

「ひっく・・・うう・・・」

、今誓おう。これからは共にを育てることを

おまえ一人辛い目に合わせないことを―――」

泣き止まないをそっと抱きしめ耳元で囁く

「もう、何も辛くないから」

「うん・・・」

安心したのかそっと俺の背中に手をまわす


ヒュルルルルルルルルルルーーーー


ドォォォォォォーーーーン



「!!!」

突然の爆発音に俺は周囲を見回す

聖闘士の本能が敵を捕らえる事ができなかった

「どこだ!!」

敵は!!!右か!!??左か!!!??

「カノン!上!!」

上か!!!

が指差す上を見上げた瞬間

バァーーン!!!


「!!!!」

初めて見る情景

空高く咲き散る

「花火だよ!!」

それは紅や黄色、緑―――様々な色をした

大輪の”花”が夜空を彩った

「綺麗〜ね!カノン?」

生まれて初めて見た・・・・これが"花火"

それはたった数秒間だけの命だが美しく咲き誇り散りゆく姿は立派で見る者達を魅了する力がある



―――たった一瞬なのにこんなに心に残る―――

「綺麗ね」

は気づいていた。気づいていたが何も言わなかった。

私が涙していることを―――

次々と打ち上げられる花火を見ながら

握られた手にお互い力が入る



「なぁ〜に?」

そっと目が合う

空には瞬く花火。

赤・黄色・緑・青・・・

打ち上げられる色に染まるを見てそっと聞こえる程度の声で言う

「愛している」

「!!」

最後に見事な花火が夜空を飾り終わった


短い人生を華麗に舞い散る花火

だが俺の人生は一度は幕を閉じたかもしれん

でも今は違う。再びこの地で生きる事を許された

だから贅沢は言わない

ただ隣でが笑っていてくれたらそれでいい。

それが俺の幸せだ。



「さて、帰るとするか。・・・・?」

「っ!!」

ふいな俺の言葉に動揺したのか顔が真っ赤になったまま両手を口元に当てている


悪戯心に引火する


俺は口元を片方だけつりあげ

「どうした?花火はもう終わったはずなのにどうして赤い?」

腰に手を回し顔が見えるように顎を持ち上げる

「!!」

・・・―――


これからはお前が嫌だと言おうが俺は離れないからな

今までずっと寂しい想いをさせた

俺の罪だ

がそっと瞳を閉じる瞬間

悪戯心に引火した俺の花火が打ちあがる


「カノン?」


ミロよ・・・すまないが今日は帰れん。


可愛すぎる妻を見て己の理性が保てんとは

まったく俺もお前と言う海に溺れているせいだろうな。



今回、突然の日本への滞在の裏には多くの人間が支えていてくれているお陰だ。

長期休暇を援助してくださったアテナを始め

を預かってくれたミロ

そして頭を抱えながら許してくれたサガ

そして俺の仕事を代わりにしてくれている黄金聖闘士達。

皆ありがとな。


最高の夏祭りだったぜ―――



だが夜はまだ始まったばかり。


俺たち二人の"祭り"はこれからが本番だ。






今日見た儚くも美しい花火は一生色あせることなく俺の心でいつまでも

忘れることはないだろう


消えゆく花火に誓った

今以上に家族を愛しそして護る事を―――





終わり



長い!!長すぎます!!
今回は惜しくも7000ではなく7002Hitを踏まれたFEVER様へ!!
感動のBBSの書き込みを見て調子心に火がつき
無理やり書かせてもらった作品です!
すみません・・夏祭りがテーマですが
始めの方は全然関係ないし!!むしろゴタゴタしていて読みにくかったと思います!!
ですがなんか頭の中がパァ〜として
気づいたらこんなに長く・・・・
ですが喜んで頂けたら幸いです。
7002Hitおめでとうございます!
この作品はFEVER様のみお持ち帰りOKです!!

これからももっと文章能力を鍛えたい!
そうひしひしと思わせてくれる作品になりました・・・
一体私何を伝えたいんだろう・・・?
きっと"愛"伝えたかったんだと思います!!

それでは7002Hitおめでとうございました!!



2005/06/14

水神剣


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