オレニ ミダサレル キミガ ミタイ・・・・
真白なソファの上。
テレビの音はとっくの昔に遠のいて。
時間はいつもとは違う方向へ流れ出した。
さっきから君は楽しそうに今日執務室での出来事をしゃべっている。
ふみが他のやつらといた事なんてききたくもないのに。
『シャカはさぁ~・・・・もしこれがアルだったら~・・・・だと思うんだ。』
『でもシャカってさぁー、そういう事しそうにないじゃない?意外だよね~?』
君の中で話はさらに膨らんで、やつらのイメージにまで及んでいる。
聞き流せない俺がガキなだけなのか?
きっとたいしたことじゃないのに、どうしてこんなにも許せない?
君の口から俺以外の名前がこぼれる事、俺以外の名前の形に口が動く事。
だって、俺以上にやつらが君の心に深く存在しているようで。
なんで君のすべてが俺にむいていないのかって嫉妬してしまうんだ。
バカだけど。
ふみ?
君がほしいんだ。
俺と同じ強さでお互い想いあって、いつでもそういう2人で
いたいんだ。
笑ってるふみの顔はもう覚えちゃったから
そろそろ他の表情をみてたい。
やつらが決して目にすることの出来ない君を・・・・
切ない表情は俺の思った通りなのか・・・
どんなふうに、俺を見つめるのか・・・
月の光に照らされた滑らかな肌・・・
オレニ ミダサレル キミガ ミタイ・・・・
「ねぇ、・・・ねぇミロ?きいてる?」
気がつけばふみが俺の顔の前で手をヒラヒラさせていた。
「・・・・あぁ、きいてる。」
「・・・・どうしたの?」
「聞いてたけど・・・もっと他の話が聞きたい。他のやつらの話なんか。」
「なっ・・・」
ふみは口元をきゅっとあげた。どうやら単に俺が嫉妬しているだけだと気がついたらしい。
「ふみ?」
「なぁに、ミロたん。」
そんな呼び方が出来るのも今のうちだけだ。
「ふみはまだ1つ言い忘れてるぞ。」
「?」
「俺のイメージだけ言ってない。」
「そんなの今更だよー。いつも一緒にいるわけだし、」
「教えて・・・?」
「え?」
「ふみの想像の中の俺、教えて?」
「私の想像の中・・・・?」
「そう・・・ふみの心の中にはどんな俺がいるのか。」
「何が望みなのか・・・。」
さぁ、きかせてほしい。そんな俺の目をみてふみは俺のイメージを恥ずかしそうに語り始めた。
いつ頃から俺を意識しはじめて、告白された時は嬉しくって夜寝れなかっただとか。
横顔が好きだとか。いつも優しくしてくれて、それが自分だけなのがとても嬉しいだとか。
でも俺の心は曇り始めてしまう。
だって、肝心な俺がいない。
君の口から飛び出すのはどれもこれも『優しいミロたん』だったから。
ミロは優しいキスをしてくれて?
ミロたんは優しいから心の準備が出来るまで待っててくれる?
女の子が憧れるほのぼのした2人の関係?
瞳を輝かせて俺の事を語ってくれるのはとても嬉しいけど、ここは・・・・
君のイメージは否定しておこう。
俺は話を遮るように首をふった。
「悪いが、そんなのは俺じゃない。」
「ミロ・・・」
「ふみを目の前にして、それだけで俺の心が欲望が満たされると思っているのか?」
「やだ、ミロ!そういうセリフはよしてって、」
「『優しいキス』?俺はいつだって堪えられないキスをしてる。嫉妬しながら、ふみのすべてを
奪いたいと思いながら・・・・」
向けられる視線に耐え切れず、君は俯いて指をいじり始めた。
俺が何か言うたびに、照れて隠そうとする仕草はとても可愛い。
でも今夜は、そんな姿だけで満足する気はないんだ。
ソファの上で体勢をかえて、ふみに向き合う。
「ふみ?・・・・本気の俺を教えてあげる。」
俺以外の男には決してできない、こんなに強く愛を交わすなんて。
「俺に乱されるふみが・・・・見たい。」
「ミっ・・・・」
頬を赤く染めたふみに覆い被さるようにキスをした。
口内を探るうちに、ふみの体から力が抜けてくるのがわかった。
支えるように抱きしめると、背中にまわされた手がキュッと服をつかむ。
静まり返った部屋に口付ける濡れた音が響く・・・
うなじから鎖骨へ
少しずつ唇をうつせば
紅い蕾とふみの甘い香りが俺を誘惑して離さなくする。
今夜は
もっと深いところへふみをさらって・・・
オレニ ミダサレル キミガ
ミタイ・・・
終