Card Warp/カードワープ |
書籍『カードマジック入門事典』収録(高木重朗・麦谷眞里編/東京堂出版)1987 |
Roy Walton/ロイ・ウォルトン |
2枚のカードを使います。フェイスを外側にして1枚はタテに細長くなるように2つに折り、もう1枚はヨコに2つ折りにします。折った2枚のカードを重ね、いったん折り目を開いて2枚が重なっている状態を客に示して今度は逆に閉じます。今、裏向きでヨコに2つに折られたカードに、同じく裏向きのタテ折りのカードがはさまれている状態です。 突き出たタテ折りの裏向きカードを指で押すと、まるでヨコ折りカードで隠された内部でカードがねじれているかのように、反対側からカードが表向きになって出てきます。即座にカードを開いて怪しい部分がないことを客に示します。再び2枚を閉じてもう一度同じことをしますが、やはりカードの裏表が入れ替わる現象が起こります。 いったん2枚のカードを離し、一方は4つ折りにしてテーブルに置きます。 もう一度2枚を組み合わせて同様にカードを押し込み、ちょうど半分が突き出た状態で止めて、端を客にしっかり持ってくれるように頼みます。タテ折りのカードが2分されるようにカードを破り、ヨコ折りのカードを開いてみると、その中で残りのカードが反転している様子が示されます。 |
一方から押し込んだカードが表裏逆の状態になって逆側から現れる。多くのマジシャンが独自のハンドリングを発表しているこの魅力的でトポロジカルなプロットを最初に提唱したのは、Jeff Busbyの「Info the Fourth Dimension」であったと言われています。手の中でカードの表裏が反転するもともとの手順を、カード2枚を使用したものとして再構成し、より洗練されたアクトに高めたのがこの「Card Warp」です。 ほかに行き場がないため「Card Warp」はたいていCard Magicに分類されることになりますが、スートの種類や色、エースからキングまでのインデックスといったPlaying Cardの特性は実はまったく重要ではありません。この作品は「Cardboard Connection(Paul Harris)」などと同様、カードを1つの物体として扱った物理的な現象だからです。 さて、Card Warpプロットの有名なバリエーションとしてカードと紙幣を組み合わせた作品がいくつか発表されており、例として「Green Warp(Bob Mcallister)」「Star Warp(Shwarzman)」「Dr. Strange Trick(Michael Close)」などを挙げることができます。「Card Warp」では2枚のカードがどちらも2つ折りになっているのに対し、紙幣をカバーに使った場合は2つ折りの紙幣でカードの両面をカバーし、さらにそれを2つ折りにする(紙幣は4つ折りになっている)ことが最大の特徴です。この状態の特性を存分に生かし、きわめてクリーンなあらためを交えながら表裏の反転を行える点が、紙幣版Card Warpの非常に巧妙な部分と言えるでしょう。 実際に典拠に当たったわけではないので(参考)には挙げませんが、Jean-Jacques SanvertのLecture NoteにはCard Warpプロットとして、以下の作品が列挙されています。Jay Marshallの「Quick Warp」、Darwin Ortizの「The Card Warp Deck」、EugeneBurgerの「The Inquisition」、Bruce Cervonの「Warped」および「Warped2」。前記した「Green Warp(Bob Mcallister)」「Star Warp(Shwarzman)」「Dr.Strange Trick(Michael Close)」も引かれています。 |
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(参考) |
◆ Lecture Note ◆ Booklet |