Chink A Chink/チンカ・チンク |
書籍『コインマジック事典』収録(高木重朗ほか編/東京堂出版)1986 ビデオ『David Roth's Expert Coin Magic... Made Easy ! Volume1』収録(A-1 Multimedia)1995 |
David Roth/デビッド・ロス |
4枚の銀貨を一辺が30cmほどの正方形の頂点になるように並べ、演者から見て左手前にあるコインから時計回りに、便宜上ABCDとします。 左手をB、右手をDの上にかざし、少し動かしてから手をどけると、Bのコインは消えDの位置に2枚のコインがあることがわかります。コインが1枚移動しました。 今度は左手をA、右手を再びDにかざします。Dのコインは1枚になり、Aに2枚となります。 演者は両手をあらためて、演技を終了します。 |
「Chink a Chink」は、Max Maliniが考案したトリックです。もともとはコインではなく、瓶の王冠や角砂糖といった、より立体的なものが素材として使われていました。またオリジナルの手順では、1カ所に集合したあとに“Two in Hand, One in Pocket”の原理を使い、エキストラを処理すると同時に、もうひとつのクライマックスを付加していたようです。 このように「Chink a Chink」の基本プロットは、David Rothの創案になるものではありません。ですが「The Original Chinese Coin Assembly」の解説文中で彼が「親指の付け根あたりで移動させる(about to be moved by the thumb base)」ことを特に強調していることからも窺えるように、David
Rothの功績は、コインを素材としたChink a Chink現象における手法の確立と、その多様化および洗練にあると考えます。 David Rothはこのほかにも、「Chink a Chink」プロットに沿ったいくつかの作品を発表しています。上記の手順では、2枚目のコインが移動するときに右手が左手の後ろに隠れるかたちになりますが、これを嫌ったのが「Ultra Coin Assembly」「The Magician's Chinese Coin Assembly」という作品です。手順を通じて右手は右手側2枚のコインしか覆うことがなく、左手も同様でその点では非常にクリーンなハンドリングですが、これを達成するためにエキストラを2枚使用しlappingを2回行っていますから、解説文中にあるように「For-Magicians-only Version」と言えるでしょう。 ちなみにタイトルの「Chink A Chink」は、「カチン、カチン」というような擬音のことです。 Coins Acrossでも音の効果を利用することで、本当にコインが飛行してきたような錯覚を狙うことがありますが、オリジナルの手順では移動現象が起こる際に、そんなふうに音を出していたのかもしれません。 |
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(参考) |
◆ Book ◆ Lecture Note ◆ Video |