Flash Coins/フラッシュ・コインズ |
ビデオ『Chad Long's magic video』収録(Quick Shot Productions Inc.)1997 |
Chad Long/チャド・ロング |
テーブルの上には火のついたロウソクが立ててあります。演者は小銭入れを取り出し、その中から小さく丸めた4つの紙玉をテーブルに落とします。他には何も入っていません。小銭入れは閉じて脇に置きます。 紙玉の1つを右手で取り上げロウソクに近づけると一瞬で燃え上がり、その炎のカタマリを左手の平に放り投げると、受け取った左手に銀貨が出現します。現れた銀貨をテーブルに置きます。 2枚の銀貨を小銭入れにしまい、残りの1枚を左手の平に載せます。最後の紙玉にロウソクで火をつけ左手の銀貨に向かって放り投げると、今度は炎のカタマリが触れたと見えた瞬間、銀貨が消失します。小銭入れを開けると、そこから3枚の銀貨が現れます。 |
カードマジックにおける「Aces Opener」のように、コインマジックにも演技に使う硬貨を財布やポケットから取り出すのではなく、その出現自体を第一の現象にするOpening Productionの手順があります。空の手から1枚ずつコインを取り出すという発想は、Chad Longの創案ではありませんが、Flash Paperが燃焼する強烈な残像によって、炎のカタマリが本当に左手に飛び込んで瞬時に銀貨になったかのような視覚的効果の表現が評価されるべきと考えます。 この「Flash Coins」は前半が出現、後半が移動の現象です。が、しかし、私はこの後半部分は蛇足だと感じます。手順を通して見ると、Flash Paperの意味づけに一貫性がありませんし、前半がきわめて鮮やかで衝撃的な出現であるからこそ、単体で完結させたほうが効果が高いと考えるからです。これに関しては意見が分かれるところかもしれません。 「Flash Coins」に類似した現象として、1枚のワンダラーが2枚のハーフダラーに、そしてそれがさらに4枚のクォーターに“分裂”していく類型があります。また、4枚すべてを空の手から出現させるのではなく、最初の1枚のコインだけはあらかじめ客に示しておくといった手順も多く、それらも(参考)にいくつか挙げてあります。 |
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(参考) |
◆ Book ◆ Lecture Note ◆ Booklet |