Double X/ダブルエックス
Johnson Productsより製品として発売
 

2枚の小さなコインと、1本のボールペンを使います。演者は銀貨(ダイム)と銅貨(ペニー)を取り出し、2枚をいったん左手に握ります。銅貨だけを右手でつまみ出し、それを手の甲に乗せます。今、握った左手の中に銀貨があり、左手の甲に銅貨が乗っています。

客に、手の内側と外側のコインを入れ換えると説明します。右手でボールペンを取り、お尻側(ペン先と反対側)で手の甲のコインを軽く叩くと、銅貨が一瞬で銀貨に変化します。左手を開くと握っていた銀貨は銅貨になっています。

2枚のコインを客に渡し、調べてもらいます。

このGimmicked Coinがどのような過程で考案されたものか、寡聞にして私は知りませんが、その起源はまず確実にShellを用いたTranspositionだったのだろうと推測します。コインの交換は取り立てて珍しい現象ではありません。単に位置を入れ替えるだけであれば他のさまざまな技法やGimmickでも実現できますが、手指やカードなどでコインを隠すことなしに、非常に鮮やかな変化が一瞬で起こる点がこの「Double X」の魅力です。

演じる側にとっては、現象が起こるまさにその瞬間を客に凝視させることに対して、当初はいささかの躊躇を感じるかもしれません。ですが実際に演技をし客の驚く様を一度見れば、適正なテンポで行われる限りこの手順が「通用する」ものであり、客の注視を必要以上に恐れることが杞憂であると確信できるのではないでしょうか。


(参考)