Ellis Ring/エリスのリング
Johnson Productsより製品として発売
 

直径3cmほどの真鍮のリングと、不透明なハンカチを使います。客に片手を出してもらい、立てた親指にリングを通します。今、親指の付け根にリングが引っかかっている状態です。
 ハンカチで客の手を覆い、その下で指からリングを抜き取って、今度はハンカチの上から軽く親指の上に乗せます。演者が手の平でポンと客の手を叩くと、それまで見えていたリングが消失します。ハンカチを取り去ると客の親指にリングが戻っています。

取り去ったはずのアイテムがいつの間にか戻っているという現象は、コインや紙玉などを用いた「Two in Hand, One in Pocket」にも見ることができますが、「Ellis Ring」は客の手の中でそれが起こることと、用いる道具が単一であること(2個が3個になるのではなく、0個が1個になる)によって、そのインパクトがさらに強まっています。

解説書で触れられていますが、上の手順を行う際には「Touch Misdirection」とでも呼ぶべき重要なテクニックが用いられます。観客の関心を他に向けさせるために多くの場合は視覚的な誘導を行いますが、この製品の場合は触覚を誤導するとでも言えばよいでしょうか。器用さよりもむしろ、慣れと大胆さが要求される特殊な技巧だと言えるでしょう。

また、2005年に有限会社クライスから「Hexagonal Ellis Ring」という製品が発売されました。Johnson Products製の「Ellis Ring」の断面が円形であるのに対し、これは六角形をしているのが外見上の特徴です。さらに現象の幅を広げるための新しい仕掛けが施されており、愛好家の間でちょっとした話題になりました。

「Ellis Ring」はGimmickの性質上、リング&ロープなどの手順にもよく用いられ、多くのCreatorが独自の手順を発表しています。


(参考)

◆ Products
・「Hexagonal Ellis Ring」(有限会社クライス)2005