手から手に数え取って、5枚の裏向きのカードを示します。パケットを表向きにして同様に数え、4枚のスペードのエースに1枚のハートのクイーンがはさまれていることを示します。つまり5枚は黒黒赤黒黒と並んでいるわけです。

ここで演者がマジカルジェスチャーをかけると、パケットが「裏返って」4枚のハートのクイーンに1枚のスペードのエースがはさまれている状態（赤赤黒赤赤）になります。さらに1枚だけになったスペードのエースを裏向きにしてマジカルジェスチャーをかけると、その1枚もハートのクイーンに変化し、結果的に5枚ともハートのクイーンに変わってしまいます。すべてのカードの両面を示して演技を終えます。

作品名の「Inside Out」は、靴下や手袋を裏返す、つまり内側と外側を入れ替えるという意味。パケット全体を1つの物体に見立てて、その内と外を入れ替えるというトポロジカルな発想が非常に興味深い作品です。

この「Inside Out」が発表された頃から、AABAA→BBABB→BBBBBという変化がパケットトリックのひとつの定石になり、これを取り入れた作品がいくつか発表されました。が、しかしそれらの多くは、さらにもう一段の変化現象を付加しようと試みて手順が複雑になりすぎるといったきらいがあり、かえってオリジナルのすっきりとしたプロットを殺しているように私には思えます。