The Imagination Tester/イマジネーション・テスター
ブックレット『The Imagination Tester(An Origami Magic Trick)』収録
Michael Close/マイケル・クローズ

演者は、紙を折って作った「Imagination Tester」を取り出し、客に示します。これは白色の四角いフレームに黒いベルトが通ったような形をしています。その紙を展開し、白と黒の2枚の折り紙を組み合わせて作ったように見えるこのImagination Testerが、実は2色で塗り分けられた1枚の正方形の紙でできていることを説明します。客にその紙を渡してよく調べてもらってから再び折りたたみ、最初と同じ状態にします。

客に、両手の平でImagination Testerをはさんでもらい、これが本当に2つのパーツでできたものであると想像してくれるように言います。客からImagination Testerを返してもらい、黒いベルトの端をつまんで横に引っ張ると、ベルトが抜けるように黒い部分が動き始め、ついには白いフレーム部分から完全に離れてしまいます。

Michael Closeは、折り紙の要素を取り入れた手順をいくつか発表しています。折り鶴が産み落とした卵から相手の選んだカードがミニチュアとなって出てくる「Ooh-Ah Bird」や、カードを折って作ったカエルで一連のストーリーを展開する「Frog Prince」などの作品が有名ですが、これらの手順の魅力はトリックの不思議さもさることながら、相手の目の前で演じる「ORIGAMI Performance」に拠るところが大きいように思います。1枚の紙が立体に形を変える様はマジックと同様、もしくはそれ以上に観客の好奇心を刺激します。

さて、そういった彼の作品の中でも、この「Imagination Tester」は異色作と言えるでしょう。マジックの現象は、増加・貫通・浮遊・復活などいくつかのジャンルに大別されますが、これは、そのどこにも分類しにくい作品です。あえて言えば、物体の変形ということになるのでしょうが、それでもMetal Bendingなどに比べると、はるかに類例の少ない作品だと思われます。


(参考)

◆ Booklet
・Michael Close「Frog Prince」『Worker Number 1&2 合本』

◆ Video
・Michael Close「Ooh-Ah Bird」『Very Very Close Vol.1』(L&L Publishing)1998