■ 破格で売られる宝石たち

「Stars of Magic」シリーズのDVDを何本か購入しました。中には以前ビデオテープで見たことのあるものも含まれていますが、あまりの安さに思わず食指が動いてしまったのです。

Frank Garcia、Derek Dingle、そしてDavid Rothといったラインナップ…。マジック歴がある程度長い人でないと、これらのDVDが信じがたい破格だとはわからないかもしれません。かつて、マジックのレクチャービデオは非常に高価で、中には2万円近い価格で収録作品が5つなんていうものまでありました。乱暴に計算すれば1つのネタが4000円弱。その頃の私は貧乏な学生でしたから、収録された手順の練習にもそれは熱が入ったものです。

今回、例えばPaul Harrisのビデオ5巻分を収録したDVDのVol.1〜2は、国内のショップでは各2600円程度。収録作品は61個ですから単価が85円ほどの計算ですね。「Reset」も「Interlaced Vanish」も「Cardboard Connection」も缶コーヒー1本以下の値段でタネを知ることができるなんて、なんだか愕然とします。

どんなに安売りされたところで、演じることに興味のない人はこんなDVDを買ったりしません。私は一般の(マジックを演じない)人にタネが広まる心配をしているのではないのです。ただ、最近マジックを始めた入門者の多くにとっては、これほど安価なDVDに宝石がぎっしり詰まっている実感はないだろうなと、やはり思ってしまいました。こういう考え方自体が時代遅れの繰り言だとわかってはいるのですが…。