■ 才能と呼ばれるもの

DVD『The Rick Merrill Lecture』を購入。前もってWebのサンプル動画を見てはいましたが、「No Hand Vanish」の気持ち悪いほど鮮やかな消失をあらためて堪能しました。
 いったんタネを知ってしまえば、この消失はマジックマニアが宴席向けに考え出した楽屋落ちのようにも感じられます(失礼…)。ですがそれを洗練させ、FISM2006クロースアップ部門のグランプリを獲得するほどのEffectに仕立てたRick Merrillのセンスは、やはり並大抵のものではありません。

透明なグラスを使ったカップ&ボールの演技で、2003年のFISMでグランプリとなったJason Latimerも、インタビューに答え「最初は冗談のつもりで友人に見せた」とコメントしたように記憶しています。しかし氏のPerformanceの不思議さが「冗談」どころでないことは、今やすべての愛好家が知っていることでしょう。

日常で見聞きするあらゆる事物からマジックのヒントを得ることができる、というのは真実です。しかし万人がそれらを作品に昇華できるわけではもちろんありません。見出し、拾い上げ、形にして表現する。その一連の能力を「才能」と称するのだと思います。

----

(参考)
DVD『The Rick Merrill Lecture』(International Magic)2006