■ その人には新作

会社の同僚数人で雑談していたら、若い一人が「風立ちぬ」の主題歌いいですよねと話し始めました。どうやら映画のために作られた曲だと思っているようなので、あれは荒井由美の「ひこうき雲」という歌でね…、と教えてあげたら「そんなに古い曲だったなんて」とビックリしていました。こういう人は意外と多いのかもしれません。

音楽に限らず、映画でも小説でも、初めて体験するものであればその人にとっては「新作」です。発表されてから時間がたっている事実は、コンテンツの価値を減ずるものではありません。「ひこうき雲」が今、大きな共感をもって受け入れられているのが、その証明になるでしょう。

初めて見るマジックに感動して、誰の何という手順か尋ねると、意外に古い作品でビックリするといった体験は珍しくありません。自分が何年も前に購入し書棚に眠っているレクチャーノートに、しっかり解説されていることも…(汗)。かえって「最近は演じられることが少なくなった古典」のほうが、思いがけず新鮮だったりすることも多いのです。

話は変わりますが、アメリカのロックバンド「KISS」が今年の10月に日本公演を行うようで、巨大な宣伝ポスターが駅に貼ってあります。昨日、若い女の子たちがその前で「何これー、聖飢魔Uのパクリじゃん?」などと話していたので、心の中で、いや逆なんだけどなとおかしくなりました。リアルタイムでは絶対に「ひこうき雲」を聞いていないであろう世代の子たちでした。