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■ 本物のスプーン曲げ ずいぶん長い間、私が本物の超能力だと信じていたスプーン曲げがありました。しかも自分がマジックを演じる側になってからのことです。 私は学生時代、マジッククラブ以外にもいくつかのサークルに籍を置いており、それらの飲み会でしばしばトランプを取り出しては、覚えたばかりのマジックを得意気に披露していたものです(今となってはかなり恥ずかしい思い出ですが…)。これもそんな宴会での出来事。 ふと気がつくと、それまであまり口をきいたことのない女の子が私のマジックを見ていました。そして「私、手品じゃないけど、ちょっと変わったことができるよ」と言って、おもむろにテーブルにあったスプーンを取り上げて擦り始めたのです。すると、スプーンの首がゆっくりと曲がり始めました。 スプーンやフォークは明らかに店のもので(店にはいい迷惑だったでしょう)、曲がった直後に確かめてもしっかりと硬く、女の子の手を見ても何も持っておらず…、といった具合に、もともと天の邪鬼な上にマジッククラブ入部で疑い深さに磨きがかかった私の目で見ても、どうしてもタネがわかりません。そういったわけで、私はそのスプーン曲げを超能力だと信じることにしました。 それから数年後、あるスプーン曲げの解説DVDを見て「やはりあれはマジックだったのだ」と考えをあらためましたが、その方法を知ると同時に、件の女の子の見せ方の上手さを再認識した次第です。今でも不思議なのは、スプーンを曲げたそのやり方ではなく、その子がどこでそんなテクニックを習得したのかということです。 |