■ クラブを持たなくても、立派に人と付き合えるプロになれ。

宮本留吉/金田武明 『現代ゴルフ勝利の方程式』


宮本留吉は、日本人選手として初の海外遠征を行ったプロゴルファーの草分け的存在です。当時、ゴルフと言えばまだまだ上流階級にのみ許された競技であり、それゆえクラブはごく限られた人のみが手にするわかりやすい特権の象徴でした。しかしそのクラブを持たないときであっても、一個人として立派に通用する人間であれと、氏は述べています。

「あの人は人間としては最低だが、演じるマジックは見事だ」ということは、まず100%ありません。しばしば言われることですが、客の目に映るマジックの魅力とはタネや技法の優劣で決定されるものではなく、演者のPersonalityこそがその本質だからです。極端な言い方をすれば、もし挨拶の第一声で「感じの悪い演者だな」という印象を抱かせてしまったら、その後どんな高等テクニックを披露できたとしても、その演技は失敗だったと反省するべきなのです。

奇妙に矛盾しているようですが、ある程度以上にマジックを究めようとすると、マジックを取り去った後のPersonalityをこそ磨く必要が出てきます。カードやコインを手にしていない自分が正しく人と相対することができ、相手を楽しませる能力を持っているか否かを、折に触れて自問することが不可欠でしょう。