■ 一般に、青年の主張するところは正しくない。しかし、それを彼らが主張するということは正しい。

ゲオルク・ジンメル 『愛の断想・日々の断想』


若い世代特有の思い込みによって、青年が視野のせまい意見を声高に主張することが、ままあります。年配の人間にしてみればそういった態度は耳障りで煩わしいものですが、だからと言ってそういった若者の自発的表現を封じ込めようとするのは不健全な行為でしょう。

マジックに対する考え方は千差万別で、愛好家の数だけ主義主張があります。タネあかしは是か非かといった話から、カードはどちら側からスプレッドすべきか、使うべきコインは日本円か外国製か、台詞で必ず客を笑わせるべきかなど、話題の種は尽きません。ときに議論自体が目的のようになることすらあり、そんな場合でも若いマニアは自分の考えに固執しがちなものですが、そういった主張をすること自体が間違っているわけでは、もちろんありません。

若いうちは、自分がよかれと思うスタイルを徹底的に貫くべきだと私は思います。たとえそれが間違っていたとしても、周囲にかける迷惑など高が知れていますし、目に余る行為であれば誰かが制止してくれることでしょう。初心者の頃から一貫して優等生であるというのも、つまらない話ではないですか。確実に言えるのは「勢い余って暴走する」といった愚行は、若者にしかできないということです。