これを見かけたとき、すぐにひらめいた。
彼へのいたずら・・・!!



 


は鏡の前でデートの支度を整えていた。
とはいったものの、どこに出かけるとも決まっていないし、
今日会いに行くとも言っていなかったけれど・・・。

「よし、・・・ま、こんなもんでしょ。」

白いパーカーにジーンズのスカート。
みかけはラフだが、それでいいのだ。

(今日の私の体には秘密があるんだもの・・・)

早くミロの反応が見たいとばかりに、支度もソコソコに家を出た。
軽やかに聖域の階段を駆け上る。足音がリズミカルに響いて気分を盛り上げてくれるようだ。





「ミロー?」
天蠍宮に着くと、勢いよくリビングのドアを開けたが返事がない。
きょろきょろと周囲をみまわすが、彼の気配はこの部屋にはなかった。
窓は大きく開かれていて、初夏の風にカーテンがひらひら揺れている。
はソファを通り過ぎ、寝室への扉に手をかけた。

「ミーロ!」
「おー。きてたのかー?」
何とも間延びした返事・・・。
どうやら持ち帰った仕事をこなしているらしい。
それほど忙しいそうでもないが、書類から目を離そうとはしなかった。

「邪魔した?」
「いや?」
「なーんでこんな気持ちのいい日に仕事をしているのかな?ミロたんは?」
「ホントだよなぁ・・・でも明日までにおわらせておかないと、サガがよぉ・・・」
「・・・。」
は、ミロがギャラクシアン・エクスプロージョンをくらう様子を想像してしまった。

寝室の窓からも、心地よい風が流れてくる。
カタっと椅子がゆれて、ミロは大きく伸びをした。
窓の外のあまりにもすがすがしい天気を無駄にするのはもったいない。

「どっか行くか!!」
「それもいいね・・・! てか書類どーすんの?」
「帰ってからやるさ!!」
そう言って立ちあがると、ミロはリビングをぬけ、冷蔵庫からミネラルウォーターをとりだした。
冷たい水がどんどん彼の中へと吸収されていく。
「ぷはぁーー!!!・・・で、どこ行きたい?」
「そうだねぇ。・・・どっか行くのもいいけど、・・・ねぇ、ミロお腹すいてない?」
「メシ屋か!!腹は減ってるぞ!!」
早速サイフを持とうとテーブルに近づくミロを制する。
「まぁそうなんだけど、・・・イチゴとか・・・好き?」

いきなりの質問。しかもイチゴと具体的にきかれると

はデザートにイチゴが食べたいのか?」
「いやいや、ミロが食べるの。・・・イチゴ好き?」

半ば強制的に”好き”と言わせようとしているのを感じたものの、
別に嫌いでもなかったので好きと答えた。

「まぁ、好きだけど・・・」
「じゃ、私、今イチゴ持ってるけど食べる?」

ちょっと上目づかいで”食べるよね”と決めてかかっている表情が可愛らしい。

「今?」
「そう、いま!!」
「いいよ、持ってるなら・・・」


やっとの思いでこの展開にもって行き、
望み通りの返事を引き出したは自分のスカートの裾に手をかけた。
恥ずかしさもあったが、ゆっくりとめくってみせる。




「あーーーーーーーーーーーーーっ!!」





ミロの嬉しい悲鳴


クスクスと笑う




「イチゴだぁーーーーーーーーーーー!!!」






たまらずミロはに近づいてひざまづく。



イチゴ柄のパンツがちょーど目の前にくるように・・・。


予想以上のミロの反応を嬉しく思いつつ、スカートの裾を下ろそうとするが、
光速の動きでミロがそれを阻止した。

「食べる!食べる!今食べちゃうぅーーーー!!」

目をらんらんと輝かせ、を見上げるミロ。

「でも出かける・・・」
「あとででいいよーーー!!」
そう言って立ち上がると、をぎゅっと抱きしめたまま、寝室へとつれて行こうとする。
「ミーロー!!」
「今食べるのぉーーー!!」

強引に、でも優しく寝室へといざなう手は止まらない。
自分がしかけたのに・・・。



わざと、”そんなんじゃない”というような素振りをして・・・。




をベッドにのせたミロは、急いでドアをしめた。













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