彼はあれから何も言えなくなり


全て燃え尽きた感じだった

でも・・・もう可愛そうとも感じなかった



”行こう”と言われやんわりと肩を押されながら


彼に家を後にした。



帰る途中


彼の手から伝わる体温を握り


頭2個分以上ある彼の顔を見上げる


ドキドキと胸が早鐘を打ち


ずっと見てしまう


「ふっ、俺の顔に何か付いているか?」


「へ?あ・・・ごめんなさい私・・・」


「まぁ、いいさ。それよりも間に合って良かった」


ピタッと止まり


私を心配した表情で見る


「すまない・・もっと早くに入っても良かったんが・・・・」


「そ!!そんなサガは悪くないわ!!」


「・・・・・」



「それにさっき貴方が言ったように私も運命を信じてみようと思うの。」



・・・では俺も運命を信じよう」



では?・・・サガが運命を信じるって言ったから


私も信じようと思ったのに・・・



「どうやら・・・俺もお前が好きになってしまったみたいだ」


「え?」


ニヤリと笑うその人は私が知っているサガではなかった


それにどうして気づかなかったのか



”外見は同じ”・・・・


外見・・・・ってことは!!!


「双子!!!!」



「ん?」



私のバカ!!どうして気づかなかったのよ!

外見が同じってことは双子以外考えられないじゃない!!

わぁ・・・・私・・一日に二度も恋に落ちたってこと!?


それって・・・・


?」


一人百面相をしている私に声が掛かり振り替える


この人がカノンさん・・・・






確かにサガと顔は似ているけど


こっちの人は何処かワイルドな感じがして・・・・


マジマジと見ると


似てないかもしれない・・・



「好きって!!??えっ!?あの・・すみません私!!サガと・・その・・・勘違いしちゃって・・・

 それにどうして私を知っているのですか??」


「俺の素直な気持ちだ・・・まさか俺が一人の女に・・しかも初めて会ったやつにだ・・

 これほど心奪われることなんて思いもしなかったからな・・・

 それにサガとが会った時俺もあの場に居たぞ?」



「えーー???」


「まぁ〜姿は見せてなかったけどな」


「・・・・」


私もサガだと勘違いして告白に近いことして


それがサガと同じ顔をしたカノンさだとわかって・・・


でも・・・ちゃんと言わないと・・・

私の気持ちを!!




「私・・サガが好きなんです!!」


「知ってる」


「うぇ??」


ニッコリと微笑みジリジリと距離を詰めるから自然に後ずさってしまうわけで・・・



「どうして逃げる」


「どうしてって・・・貴方がこっちに来るからです!!」



「俺の名はカノン。俺は認めてねぇ〜がサガの双子の弟だ。」



「ち・・近寄らないでください!!」


ピタッと足が止まり


暗闇の中彼は俯いてしまった


「そんなに・・・俺が嫌いか?」


声が沈んでいる


どうしてよう・・・・



「あの・・カノンさん??」


は俺のこと嫌いなのか?」


嫌いとか好きとかの問題じゃないんですが・・・・


そっと近寄り

顔を覗き込む


「っ!!」


「捕まえた!!」


サガとは違うのに・・・


またこの腕も安心している自分がいた


私って本当最低


「なぁ?俺の事すぐに好きになれって言わないから・・・・」


「・・・・・?」


「いつか好きになってくれよな!!」


月明かりに照らされた顔は


とても愛しく感じ


そのまま抱き付いてしまっていた



「サガと同じヤツは好きになりたくなかったんだがな。お前は特別だ」


”特別”


カノンさんの言葉がスーッと心に染みる



「カノンさん・・・」


抱きしめられている腕の力が強くなり耳元で”カノンと呼んでくれ・・・さんはいらない”と囁かれた


その時今日違う場所で同じことがあったと思い出し


やっぱり二人は似ていると思った


心がくすぐったくなり


同じ日に


同じ顔をした


違う二人を



愛してしまった




私をあの150階の黄金迷路から助け出してくれたサガと


○○の手から守ってくれたカノンと


”運命”の出会いをしてしまった。










家まで送ってもらう途中私とカノンは話をした


それは私の作られた未来の話とか


それを壊してくれたのがサガだとか


そして・・・・



「こんなこといけないけど・・・私カノンも好き」


と言えば


これまでにない嬉しそうな顔で


抱き上げてくれたカノン


禁断の恋を彼は受け入れてくれた




「サガには負けないぜ!!」


闘志溢れる顔で燃えるカノンにこれから先どうなるか


すこし・・・楽しみになっていた



退屈な毎日から解き放たれた今の私は



自分でも驚くほど


自由だった




家に着き



別れが来る




「送ってくれてありがとう。」



「あぁ。」



ポケットに手を入れる姿も格好がよく


思わず見惚れてしまう



・・一つ話しておきたい。」


「なに?」



「・・・急な話だが俺とサガは明日ギリシアに戻らないといけなくなった」


「え!?」


「交代制で明日からは残り天秤から双魚までが日本へ来る」


天秤?双魚?一体何??言ってるのかさっぱり理解できなかった



まさかこの人達が


世界の平和と愛を守っている聖闘士とは思ってもみなかったから


黄金聖闘士


聖闘士の中で最強を誇る


黄道12星座を司る


12人だけが着ることを許される黄金聖衣



サガとカノンは星の名の元


双子座の黄金聖闘士だっだのでした



「と・・いうわけだ。すぐ理解してもらおうとは思っておらん・・・

 ゆっくり時間をかけて聖闘士・そして俺たちのことをわかってくれたらそれでいい」





それを知った時の私の驚きは


計り知れないものでした。



「すまんな・・急にあれこれ話して整理がつかないだろう??」


確かに・・・


今日という一日があまりにも濃くて


頭がついてこない状態



「あとは・・・お前次第だ」


そう言うと私の頬にそっと触れるだけのキスをしたカノンは


風の如く消えた


触れた頬を押さえながらしばらくその場でボーッとしていた。





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