「ちゃんと・・送ってくれたみたいだなカノンよ・・」


「お前こっそり後を付けてただろ?趣味悪いぞ」


「おいカノン、誰が手を出しても良いと言った!!」



ワナワナと拳に力を入れ



目の前の人物を睨む


「へっ、一人の女を落とすのになに照れる必要があるお前はガキか!」



「だまれ・・・・」


暗闇の中同じ姿形をした男が話をする



「悪いなサガよ。俺も"運命"ってやつに出会ってしまったみたいだ」


「なにを、お前は勘違いしているだけだ。私が好きになればお前は好きになるはずがなかろう」


「それがそうなっちまったんだ。まぁ悪く思うな」


「カノン!!」


「安心しろ・・・どちらが選ばれても文句なしだ」


「・・・・・・」



暗闇に消えるカノンの影をサガは黙って見ていた


カノンもサガと同じ


だからサガにもカノンの気持ちがわかり

カノンにもサガの気持ちが痛い程わかる


「双子ほど辛いものはないさ・・・」



見上げる満天の夜空

輝く星達に囲まれ


二人の男は大きくため息をついた





その頃は家に入り


両親に婚約を破棄したことを話すと


母親は激怒し


父親は黙ってしまった


「ごめんなさいお父さん、お母さん・・・でも私!!本気なの!!」


「何言ってるの!!!!貴女正気!!??君がどれだけ貴女を思ってあの会社に入ったことか!!」


ズキリと胸が痛みは俯く


所詮母親も世間体を気にかけているのね・・・


「会社会社って!!確かにすごい所よ!でもそれが何!?私の幸せは二も三にも後なの!?」


「何を言ってるの!?あれだけすごい所で働いていたらお金に心配しなくてもいいじゃない!!」

「お母さん・・・私、もういいの。確かにお金も必要よ?でもそれ以上にお互い愛し合わないと意味がないの!!」


!!」


「母さん」


その時黙っていた父が口を開く


「お父さんからも何か言ってやって!この親不幸な娘に!!」


「だがな、大切に育てた娘が幸せにならなかったらそれこそ親不幸じゃないのか?」


「ちょっと!!あなた!!!」


父の言葉がの心に響いた


いつも寡黙な父なりに常に娘の幸せを祈っていたことに気づいた


「お父さん!!」


「人生の道は一つじゃない・・・の好きなようにしなさい」


優しい父の言葉に思わず涙が出る


「母さんもああは言うが本当はお前のこと誰よりも心配しているんだぞ?」


「うん」


ポンポンッ

昔よく褒められた時に頭を撫でてくれた父の大きな手


大好き



「式のキャンセルとかしなくちゃ・・ね」


本当はまだまだ怒りたいはずなのに母はそれ以上何も言わなくなった




ごめんなさい・・・は心からそう思い


深く頭を下げた



娘の幸せを望まない親なんていない


の両親もそうだ


愛ある結婚を望んでいる


幸せな家庭を築いて欲しいと望んでいる


だから・・・・


それが出来ないとなると


今回の結婚は白紙にしたらいい


そして新たに歩き出せばいい


そう思ってくれた



「私・・・これを気に家を出ようと思うの」


「え?」


「何処へ行きたいんだ??」


「ギリシア」


「「!!!」」


娘の真剣な眼が両親を納得させた


「反対したい気持ちでいっぱいだけど・・・泣いて帰ってきても許しませんよ?」


「まぁ・・母さん。がここまでやりたい事を言うなんて珍しいじゃないか。」



反対されて当然だと思ったに両親は許してくれた


「でも、式のキャンセルとか全て自分でしなさいよ??」


苦笑いでそういう母に”はい”と答え


話し合いはうまくおさまった





今日一日いろんな事がありすぎて


人生を180度返ることなんて出来ないと思っていたのに


できてしまった


はどこか晴れた気分で


眠りにつくことができた



それから慌しく


全てキャンセルした


二人の出会いから丁度一週間ご


本来なら結婚式を行うはずだった日に



ギリシア行きのチケットを手に家を出た




「行って来ます。」


「気をつけてね!!体には充分大事にするのよ!何かあったらすぐ帰ってらっしゃい!!ねっ?」


「もぉ〜お母さん心配しすぎよ?」


「そうだぞ。はもう大人なんだから心配しなくても大丈夫だ」


「そう・・・ね。」


「そうよ。」


空港まで送ってくれた二人に別れを告げ


そして慣れ親しんだ日本に別れを告げ


二人の元ギリシアへ飛行機は飛び立つ

――サガ・・カノン・・・私全部清算したから・・・新しい自分になるために・・・―――


想いを胸に






日本とギリシアの時差は約7時間



その日最終便の飛行機に乗ったから


到着は早朝




実はこの一週間で他の黄金聖闘士さんたちが


色々手伝ってくれたお陰で



アテネ市街から聖域への道のりはあのエレベーターで出会った



シャカ様が迎えに来てくれる約束だった



空港は早朝にも関わらず人が沢山居て

その中でもシャカ様は目だって居た



「シャカ様!!」


「ん?少々遅かったのではないかね??」


このシャカを待たすとはお前が始めてだ!と言われてしまいました


「すみません・・・飛行機は急いでくれませんので・・・」

これでも時間ピッタリのはずなんだけどなぁ・・・と思いながら


迎えに来てもらえただけでも感謝しないといけない。


「む?そうか・・・」


「わざわざありがとうございました!」


「うむ。では行くとしよう。」


「はい!!」


ギリシアは暑く日本よりも太陽が近く見える気がした


ここに二人が居る



そう思うと心が沸き立ち


早く会いたいと思ってしまう


アテネ市街を歩き人気がない場所まで来た私達


「シャカ様??」

閉じられた瞳だがジット見つめらる・・・


見えてるのよね?・・・ちゃんと。流石は黄金聖闘士だわ。


「これより先は許された者だけが入ることが出来る神聖なる場聖域、よ」


「は!はい!!」


「お前の内なる想いは真実か?」


「内なる想い・・・」



「そうだ。目的がない者を聖域に入れるわけにはいかんからな」


「私・・・」


同時に二人の人を愛してしまった・・・これはいけない事だけど・・・・


でも、この想いは真実!!

「この想いだけは誰にも負けない真実です」



「そうか・・・では。私の手を握りたまえ」

「はい」


そっと包まれるシャカ様の手に全てを委ねる


「今から起こることは一瞬の事。恐いかもしれんから目を閉じておくのだ」


そっと瞳を閉じた瞬間再びシャカ様の声が聞こえる


「着いたぞ。ここが聖域だ。



そこは私が想像したよりもすごく


強く心が打たれた






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