Bizarre Twist/ビザール・ツイスト
DVD「Stars of Magic 1/Paul Harris Vols 1,2&3」収録(Murphy's Magic Supplies, Inc.)2005
Paul Harris/ポール・ハリス

演者は青裏のデックから3枚のカードを取り出します(仮にスペードとクラブのジャックと、ダイヤの5だったとします)。残りのデックは使わないので脇に寄せておきます。

左手に裏向きで持った2枚のジャックの間に、同じく裏向きのダイヤの5を差し込みます。このときジャックの長辺にダイヤの5の短辺を差し入れ、カードを直交させます。右手を離しても、2枚のジャックにはさまれてダイヤの5は保持されています。両手でジャックの対角をつまみ、軽く振るとダイヤの5が表向きになります。3枚を広げ、たしかに中央でダイヤの5が表向きになっていることを示します。3枚をあらため、同じことを片手でもう一度行ってみせます。

再び、裏向きのジャック2枚にダイヤの5がクロスした状態を作りパケットを片手で振ると、今度は中央にはさまれたカードが一瞬で赤裏に変化します。赤裏のカードを抜き取りダイヤの5であることを示します。

奇才・Paul Harrisの手になる小品。Bizarreには「怪奇な」の意味もありますが、ここでは「一風変わった〜」程度に解釈すればよいでしょう。

表裏を揃えたパケット内で特定のカードの向きが変化する現象は、その多くがFalse Countや特殊なDisplayを用いて達成されますが、この「Bizarre Twist」の要となる技法は極めて独創的で、他と一線を画していると言えるでしょう。前者の代表格である「Twisting the Aces(Dai Vernon)」との最大の違いは、カードの一部が常に客の目に触れている状態で一瞬にして変化が起こる点です。

Paul Harris自身による改案がいくつか発表されています。2枚のカードの間に1枚をはさむ段までは同様ですが、その先の現象がそれぞれ異なります。
 パケットを上から指で押すと、中央のカードが下のカードを貫通してテーブルに落ちる「Bizarre Penetration」。中央の1枚を引っ張ると、するするとカードが伸びる「Bizarre Stretch」。そして「Bizarre Shrink」は中央のカードを客につまんでもらい、上下2枚のカードを取り除けると客の持っているカードが小さくなっているという作品です。


(参考)
 

◆ Book
・Paul Harris「Bizarre Penetration」「Bizarre Stretch」「Bizarre Shrink」『A Close-up Kinda Guy』(Paul Harris/Tannen Magic Inc.)1983