Collectors/コレクターズ |
書籍『カードマジック事典』収録(高木重朗編/東京堂出版)1983 レクチャーノート『でぇれっく でぃんぐる れくちゅあ のーと No.3』収録(麦谷眞里訳/マジックランド)1981 |
Derek Dingle/デレック・ディングル |
演者はデックから4枚のエースを取り出し、表向きにテーブルに置いておきます。残りのデックを裏向きに広げ、3人の客に1枚ずつカードに触れてもらってそのカードをアウトジョグしていきます。3枚のカードが選ばれたらデックから抜き出し、ここで1枚ずつカードを示して、3人の客にそれぞれ自分の選んだカードを覚えてもらいます。その3枚は裏向きでテーブルに置きます。 ここであらためてテーブルからエースのパケットを取り上げて「4枚のエースで客のカードを集める」ことを告げます。表向きで数え取ってたしかに4枚であることを示し、再びテーブルに戻します。 客の選んだ3枚を取り上げ、デックの中にバラバラに差し込みます。 4枚のエースを表向きにデックに乗せ、マジカルジェスチャーをかけてスプレッドすると、それぞれのエースの間に1枚ずつ裏向きのカードがはさまれています。裏向きのカードは、先ほど客が覚えた3枚であることが示されます。 |
Multiple Sandwich、すなわち特定のカードの間に複数枚の別のカードが出現するというプロットは、3枚のキングの間に2枚のカードが出現する、Roy Waltonの「Collectors」が初出と言われています。その後、Edward Marlo、 Larry Jennings、Derek Dingleらが独自の手順を発表し、徐々に「客の選んだ3枚のカードが、Four of a Kindの間にそれぞれはさまれて出現する」というスタイルが確立されました。 Derek Dingleの「Collectors」(初出時は「Royal Collectors」)は、このスタイルの一応の完成形と言えると思いますが、無意味なあらためが多すぎるという欠点を持っています。最初に4枚のエースを取り出しているにもかかわらず客にカードを選んでもらってから再びエースをあらためる点などは、どう考えても合理的ではありません。こういった冗長さをなくそうとその後も多くのマジシャンが改良を続け、独自の手順を発表しています。例えばJohn Mendozaの「Simple Collectors」は、Bluff Shiftなどを用いることでカードのあらためを最小限に抑えた作品です。 基本的な“Collectors”現象を実現するためのMethodの研究が進む一方、単なるMultiple Sandwichにとどまらない興味深いバリエーションも数多く発表されてきました。一例として「Collect Me Not(Jay Sankey)」の現象を簡単に紹介します。 4枚のジャックで客のカードを集めるという「Collectors」プロットに沿って演技が始まりますが、そこに客の選んだ3枚のカードがはさまれる現象が、デックとパケットが近づいた印象がほとんどないまま達成されます。さらに手に持った7枚(ジャック4枚、客のカード3枚)から突然ジャックだけが消失し、テーブル上のデックから現れるという予想外の現象がこの作品の結末です。 また、Joe Givanは「Card Case Collectors(Allan Ackerman)」の改案「Case Closed」を発表しました。カードケースに入れた4枚のエースの間に、デックから3枚のカードが移動するという作品です。 このマニアックな発想を汲みつつ、Fake Cardを使用することでハンドリングをさらにクリアにしようと試みた作品が「Robin Food(Pit Hartling)」です。輪ゴムをかけた4枚のエースをカードケースに入れて客に持ってもらい、そこに3枚のカードが移動する現象は、プロブレムの解決にFake Cardが高い効果を挙げている好例と言えるでしょう。 |
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(参考) |
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