B'wave/ビー・ウェイブ |
レクチャーノート『金石箱根』収録(前田知洋訳/マジックランド) |
Phil Goldstein/フィル・ゴールドスティン |
はじめに演者は青裏のパケットを取り出してテーブルに置き、常に客に見えるようにしておきます。 “想像力のゲームをする”ことを客に告げます。青裏のパケットが4枚のクイーンであると仮定して、そのうちの2枚を抜き出すジェスチャーをします。そして、抜き出したカードのスートの色が、赤と黒のうちどちらだと思うかを言ってもらいます(仮に赤だったとします)。 次にその2枚の(赤のクイーンの)うち、1枚を表向きにしてパケットに戻すジェスチャーをします。表返したのがハートとダイヤのどちらだと思うかを言ってもらいます(仮にハートだったとします)。 もし客の想像どおりのことが現実に起こっているとしたら、4枚のうちハートだけが表向きになっているはずです。ここでパケットをスプレッドすると、裏向きのパケットの中で、客の指示どおりにハートのクイーンだけが表向きになっている状態が示されます。 スートを聞いてから、演者がテクニックを使ってすばやくカードをひっくり返したのではありません。客が選ぶスートはあらかじめわかっており、演者の準備と客の想像力が合致したことの証拠に、ハートのクイーンを裏返すと、その1枚だけが赤裏です。また、残りの青裏3枚の表はブランクカードであることが示されます。 |
客が思い浮かべたカードがデックの中で1枚だけ表向きになっており、バックの色も異なっている。「Brainwave Deck」の現象をパケットで再現しようと試みた作品は「B'wave」が最初ではありません。「B'wave」に先だって「The Deuce You Say !(Nick Trost)」など、いくつかの作品が発表されており、「B'wave」はこのプロットのひとつの完成形と言えるものです。これらはいずれも4枚で行うパケットトリックで、客の目には「B'wave」との差は判然としないかもしれません。が、演じている側にとっては客が思う以上の差があります。 「The Deuce You Say !」が「B'wave」と異なっている点は、1度の質問でパケットをスプレッドすることができる長所と引き替えに、客が答えてからでないとパケットを取り出せないという「Brainwave Deck」と共通の短所を持っていることです。また、指定された以外の3枚の表側を見せることはできません。 少し異なったアプローチをした作品に「Four-Tunate Choice(Bro. John Hamman)」があります。※タイトルは「Fortunate(運命的な)」と「4」の洒落。現象は以下のようなものです。 Magician's Choiceとフェイクカードを巧妙に組み合わせて絶大な効果をあげる「B'wave」が発表されて以来、これに類する現象の作品が続々と登場しました。「Twisted Sisters(John Bannon)」などが有名ですが、これが「B'wave」の改案にあたるかどうかは議論の分かれるところだと思います。 |
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(参考) |
◆ Book ◆ Lecture Note ◆ Product |