The New Limited Edition/ニュー・リミテッド・エディション
 
Gordon Bean/ゴードン・ビーン

演者はカードケースから、数もスートもばらばらの6枚のカードを取り出します。表を客側に向けてファンに広げ、心の中で1枚のカードを思ってもらいます。この間、演者は横を向き、客の動作を見ていません。客がカードを覚えたらいったんファンを閉じ、パケットを軽くシャフルします。

客に「先ほど覚えたカードから、一隅を除いたインデックスがすべて消えてしまう」光景を想像してもらいます。次に客の心の中で「インデックスの残っている一隅を破り取る」ことを指示します。以上の操作を客に確認してからパケットを裏向きに広げると、本当に隅が欠けている白いカードが1枚あります。そのカードをファンから3/4ほど引き出し、手を返してファンの表側を示すと、残りの5枚はすべて普通の状態で、その中に客のカードはありません。心に思っただけの客のカード1枚のみ、両面がブランクカードになり、隅が破られているのです。

演者は空のカードケースを持ち「合図をすると、切り取られた紙片が客の頭の中から抜け出し、カードケースに入ってくる」と告げます。演者は客に覚えたカードを尋ね、カードケースを開けると、たしかに客の指定したインデックスの書かれたカードの破片が出てきます。

1995年に発表され、ビジュアルな現象とそのシンプルな原理で一世を風靡した「The Limited Edition」の改案です。非常に完成度の高い手順にあえてあらたなクライマックスを付加した理由を、Gordon Beanは「類似した原理のマジックがインターネット上に増殖したので、それに対抗するため、客の覚えたカード(の一部)を最後に出現させることにした」と述べています。

「客の目の前で何かを消したら、それを出現させて演技を終えるべきだ」という考え方があり、その意味でこの改案は筋が通っています。また、一隅が破り取られているカードは客に強烈な印象を残しますから、想像の中で行った行為が現実のものになったという驚きは、いっそう増加しているでしょう。
 しかし一方で、不思議な余韻を残して演技を終えるオリジナルの手順には簡潔さゆえの強い魅力が確かにあり、そこにあえて派手なクライマックスを付加することを好まない演者も多いのではないかと想像します。

この製品には、バックが完全なブランクではなく色調が薄くなっているカードが1枚含まれており、これを使うと少し雰囲気の違った表現ができるようになっています。また添付された解説書には、Eugene Burgerによる「The Limited Edition」の演出法、Max Mavenによる新旧両バージョンに適用できる演技のアイデアが収録されています。


(参考)