お互い見つめ合ったまま、これからどうするか考えたまま1分、2分・・・。
うさぎになったは、さっきからテーブルの上で何やらわけのわからない動きをしていた。
不思議に思って、前足を手にとって足の裏を触ってみると・・・
「はぁ・・・どこもかしこもウサギなんだな・・・」
ウサギは犬や猫と違って、足の裏に肉球はなく、かわりに硬めの毛が生えている。
そのために、ツルツルした場所では足が滑ってしまうのだった。
は滑って放射状にひろがってしまう足を必死で引き寄せていたのだった。
思わぬ不便さに遭遇した事で、”ウサギになっている”と実感する。
かわいそうなので、ミロはを膝の上に抱き取った。

「さて、何から考えれば・・・。まずは意思の疎通だな。とりあえず質問はなるべく
”はい”か”いいえ”で答えられる事にして・・・”はい”の時は首を縦にコクコク、”いいえ”は
横にフルフルだ、いいか?」
コクコク。
「よし。あとは、・・・これが最大の難関かもしれんな。この事態をみんなに知らせるか
どうかだが・・・はどうしたい?」
反応なし。
「わからないか?」
コクコク。
「俺もだ。じゃ、後回しにしよう。」
コクコク。
「うーん・・・・あとは、・・・・ダメだ。何も思い浮かばん。何かしなくちゃいけないのに、何から
すればいいのかわからない。そんな感じだな?」
コクコク。
「これも同じか。よし、考えても無駄だ。このさい、いきあたりばったりで何とかしよう。」
コクコク。



俺の膝の上で丸くなっていただったが、あれから1時間。
だんだんウサギであることに慣れてきたのか、今は足を
ビヨーンと伸ばしてくつろいでいる。
たまに背中を撫でてやると、気持ちよさそうに目を細めた。

こんな事態にあせりつつ、時間がたてば慣れてくる。
それでいいのか、いかんのか・・・。

それに今、はたと気がついたのだが、
はベッドで自分の服の上でちょこんとすましていたと言う事は・・・・
「ぶっ!!!」
突然横を向いて鼻をおさえた俺を不思議そうに見つめる
「い、いや。・・・何でもないんだ。」
そうは言ったが。
俺の膝の上でくつろぐウサギ姿のは・・・。
人間だったら、

ヌーーーーーーーーーーードーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

うわっ!!何と大胆な!!!
素っ裸のが、俺の膝枕でくつろいでいるってことかぁ?!
いかん、いかん!そんな想像はやめるんだ!
これは非常事態なんだ!!

「そうだ。何も興奮することはないじゃないか。いつもみてるんだから・・・」
額の前で手を振って、妄想を追い払う仕草をした。
それからテレビをつけたりして、思考の対象をかえようと試みたが
効果なし。

膝の上で毛づくろいをするを見れば
風呂場で長い髪を丁寧に洗う・・・・

膝の上で立ち上がれば
裸で俺にすがりついて、何事かを懇願する・・・

とにかく、どんな姿でも何かに結び付けて想像してしまう。
ウサギになってしまったことを、楽しんでる自分がいる、気がする・・・。
これでいいのか、いかんのか・・・。











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