「じゃ、皆さんよろしくお願いしますわね。」
そう言って部屋を後にする女神・・・。


お願いするったって。なんたって。あなた・・・。



ここは日本の東京、城戸邸。
部屋に集まるは黄金聖闘士と

事の始まりはグラード財団のアミューズメント部門への参入。
それがどうして聖闘士とを悩ませるかというと。


「この度、我がグラード財団ではアミューズメント部門への参入が決定し、
その第一弾としてパチンコ台を出すことにいたしました。」
女神の嬉しそうな声。
「女神。そのような報告を何故我々に?」
すでにサガの頭に嫌な予感が過ぎっている。
「何故って、そのパチンコ台があなた方聖闘士に関係がある内容だからです。」
「つまりは・・・?」
「パチンコ台の名は・・・」
「名は?」


女神の企み顔。
「CR黄金の戦士たち!!」
タバコにむせるデスマスク。
「がっ・・・!何なんだよ、そりゃ?」
「何って。そのまんま。あなた方のことを材料にさせていただきました。」
「女神、お言葉ですが・・・世界に名だたるグラード財団がギャンブル部門へ参入するなど。
私はどうかと・・・。」
「あら、シュラ?パチンコは昔とは違います。今や優良企業のひとつなのですよ。
台もアニメやテレビ番組とタイアップしている凝った物が多くあるのです。」
にっこりと微笑む女神には誰も逆らえない。

「女神、そのパチンコ部門とやらに参入するのはよいとして、
万が一我々の存在が世間に知られるような事態になったら何とするのですか?それにこのシャカ・・・」
目を瞑ったままブツブツと文句を言うシャカをさえぎり女神は言う。
「だって・・・ちゃんが、パチンコは面白いって日本に帰る度に出かけてしまうんですもの。
話をじっくり聞いていたら、確かに面白そうですし
辰巳に試しに一台取り寄せてもらいましたら、個人的な興味もわいてきちゃって。うふ。」

黄金聖闘士全員の冷たい視線がにつきささる。



「・・・・・」



「この台を作ったら、ちゃんもきっと喜んでくれるとおもったの!どう?ちゃん。」
「い・・いいんじゃない?(私にふるなっちゅーの!!)」
「とにかく、この台をみても誰も聖闘士の存在が実際にあるとも思わないでしょうし、
何も心配する事はないのです。打った感想を聞かせていただければ結構です。
自分たちがどんなふうに演出されているか思う存分楽しんでくださいね。」

女神の微笑みの前には、もはや誰にも文句はいえなかった。



こんな感じで、責任の全てをに押し付けるようにして、沙織は辰巳と
財団の仕事に出かけてしまったのである。




ふう、とため息をもらす
と背後に怒りに燃えた小宇宙を感じる。
、てめぇ・・・」
「な、何よ。デスったら。怒っちゃやーよー・・・なんて・・・はは・・」
「くぉらぁ!人がメシに誘っても”久しぶりに友達に会うから”とか何とか言って
てめぇ、パチンコに行ってやがったのか!!」

に詰め寄るデスマスク。
しかし”メシに誘って”の部分が他の黄金聖闘士の怒りをかった。
「おい、デスマスク。を独り占めするつもりだったのか?」
より貴様の方が許せんな・・・」
にじり寄るアフロディーテとシュラ。
「この蟹が。聖戦ではクソの役にも立たなかったくせに、こういう所だけは油断も隙もないヤツだ。」
カノンもいまいましげに言い放つ。
「まぁまぁ!落ち着いてさぁ・・・!絶対に面白いって、パチンコ。
題材が問題なのはわかるけど、やると絶対ハマっちゃうって、ねぇミロ?」

としては、まるくおさめようとした一言だったのだが、
またあらたにミロが標的になってしまった。
「・・・ふっ、だって女神同様聖域にとって大事な存在だからさぁ!
一人で出かけさせちゃ危ないと思って!なぁカミュ?」
隣のカミュに同意を求めるが、彼には親友の味方をしようなどどいう気はないようであった。

「まぁ・・・よいではないか。そのパチンコ台とやらはすでに完成してしまって
なかった話にするのは無理であろう。」
シオンはソファから立ち上がるとの前にすすみ出た。
「女神が望む通り、その台をうってやろうではないか。ただし条件つきでだが・・・」
「な、なんでしょうねぇ・・・その条件って・・・。」
はシオンの企みを感じ取って、後ずさりする。
「パチンコにも勝敗があるのじゃろう・・・?」
「えぇ。
大当りをひいて、最終的に一番出玉を多くとった人が勝ちということになりますけど。」
「ならば、その勝者には・・・」
ますますシオンの笑みが不敵なものになっていく。
「勝者には・・・?」

を一日ひとりじめする権利が与えられるというのはどうじゃ?」




ぴくり。黄金聖闘士が反応を示す。




「そんな権利、私には何のメリットもないじゃなーい!!!
第一私が勝者になったらどうするんですか!?」
「その時は」
がシオンを強く睨む。
の望みの褒美をとらせようではないか」
「でも」
「まだ何かあんのか!?」
を一日ひとりじめするという事で話をまとめてしまいたいデスマスクは口を挟む。

「少なからず全員がサイコキシネスを使えるんだったら当りなんて簡単にひけちゃうんじゃないの?
そうしたら私が不利に決まってるじゃないの!勝てっこないじゃない!」
「そんな心配はいりませんよ、。女神に誓ってそんな事はしないと約束しましょう。」
優しい微笑を湛えながらムウはいった。
「あのアマになんか誰が誓うか・・・!」
そうぼやいたデスマスクにサガの鉄拳がとぶ。
「それに、明日は女神の護衛があるので、私にはなんにしろ権利を得ることはできません。」
「ムウは来ないんだ。」
残念そうな
「わしとアルデバラン、アイオロスもそうじゃて・・・」
老師もメンバーから外れることになった。

「どうじゃ、。どうせやらねばならぬのなら、楽しくやろうではないか。」
「楽しいのってそちらさんだけでしょ。」
ほっぺを膨らませて、すねてみた。
「乗り気でないんならそれでもいいんだよ。ただが女神に何の感想ももっていけない
だけだからね。さぁ、どうするの?」
アフロディーテはを見る。
選択の余地などないのに、みんな意地悪だなとは思う。


「やるわよ!やってもらいましょう、パチンコを!」



こうして、たかだか感想を伝える為だけのはずが、
黄金聖闘士の間では、争奪戦になっていたのであった。





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