'01パシフィックGP観戦記(2001/10/05〜07)


その2(2日目〜3日目=10/6〜7)

明けて2日目。前日の肌寒さとはうって変わったいい陽気。風も弱く、昼間の観戦中には暑く感じるのではないかと予想されたため、ジャケットの中にはあまり着込まずに出発。GP開催期間中とはいえ、朝早いコトもあり、途中で渋滞にハマるコトはなし。前走車のペースに左右されつつも、50〜80km/h程度の快適なスピードでサーキットを目指す。
途中、ちょっと大きく回り込む左コーナーで、前走車について80km/hほどでアプローチしていったら、プッシュアンダーで対向車線へはらみそうになって「( ̄□ ̄;)!!」ってな感じでかなりビビッたが(爆)、無事にことなきを得た。
ツインリンクもてぎには3ヵ所の入場ゲートがあるが、今回3日間とも利用したのは南ゲート。ここから入って駐車場へと向かう道が、結構いい感じだったりするのだ。ゲートから坂を登りきるところで左に90°曲がるのだが、この部分がまるでフィリップアイランドサーキット(オーストラリア)の第9コーナー(WGPフリークなら解っていただけるはず。第2シケイン手前の上りの左コーナー)に感覚がそっくりなのだ。だいたいゲートから入ると前に他の車がいるコトが殆どなので、いい感じのスピードでクリア…というワケにはいかないが(笑)、登っていく先に見えるモノは広い空ばかりというのは、非常に爽快な気分であった。

中野真矢仕様のマジェスティ。カッコいい! 会場のゲート付近には、3週間後に同地で開催されるイベント『Hot Dog 2001』をPRするコーナーが設けられ、ドリンクの無料サービスが行われていた。そしてその横には、
 「ライダーに応援のひとことを!」
というホワイトボードが設置されていた。…もう書き込む内容はひとつ。

 MAXVALENTINIKCAMPIONE!!

と、わざわざ赤・黄・黒の3色を使って大書してみた(笑)。だって、ビアッジ嫌いなんだもん(爆)。
ここで目をひいたのは、ヤマハのブースに展示されていた、Y's Gearブランドプロデュースのカスタムドマジェスティ。写真の“GAULOISES YAMAHA TECH 3”仕様のほか、“Marlboro YAMAHA”仕様も展示されていた。個人的には、ホンダに同じようなコンセプトで“NASTRO AZZURRO”仕様のフォルツァでも展示してもらいたかったなと思うのだが(^^;)。
コースに入ると、晴天に加えてやはり土曜日というコトもあり、前日よりも観客数は大幅に増えていた。お約束の牛ステーキ串を買い込み(笑)、最終コーナー付近のビジョンが見えるエリアに陣取る。もてぎは鈴鹿と違い、サーキット自体に見どころが少ないため、この位置でインフィールド全体を見とおす形にしないと厳しいのだ。それに、最大のオーバーテイクポイントである、ダウンヒルストレートエンドの90°コーナーの突っ込みを見るためには、最終コーナー付近でなければいけないのだ。

絶好のレース日和。そしていい景色 この日はアタックには絶好のコンディションとなったコトもあり、各車とも鬼気迫るタイムの削りあいだった。タイトルのため、ひとつでも上のランクのため、次のシーズンにつなげるよりよいリザルトのため…。
125ccでは、今年こそタイトルをと意気込む宇井陽一(#41/L&M DERBI Team)が、限界いっぱいのタイムアタックでPPをゲット。ランキングトップのマヌエル・ポッジアーリ(#54/GILERA Racing Team)も2位につけ、激しいレースが予想された。宇井としても、同じマシン(DERBIはGILERAの傘下メーカー。マーケティング戦略の関係で、全く同じマシンだがDERBIとGILERAのブランドに分けて参戦している)に負けるワケにはいかないところ。
250ccでは、これまで'96年の日本GP(スポット参戦)から、日本での開催レースでは全て表彰台を獲得している加藤大治郎(#74/Telefonica Movistar HONDA)を抑え、原田哲也(#31/MS APRILIA Racing)が意地とも言えるPP獲得。'90年代の天才と、21世紀の天才のハイレベルな争いをここでも期待した…のだが(←その理由は後述)。
そして500cc。開幕戦の鈴鹿で驚異的なレコードラップを刻んだロリス・カピロッシ(#65/West HONDA Pons)が、ただひとり1分49秒台に飛び込むタイムで、日本ラウンドを「完全制覇(但し予選のみ^^;)」。ランキング3位とはいえここまで未勝利のカピロッシにとっても、いい加減1勝を挙げておきたいらしく、見ていてかなり気合のこもった走りだった。
 (注:この「その2」を書いているのが、すでにレースが終わってから半年も後のコトなので、書き方があっさりしているのはカンベンして下さい。もう殆ど忘れてるし…T∇T)。

そして3日目。この日も気持ちよく晴れたが、前日と比べて若干風があり肌寒い。観戦が終わったらそのまま帰宅するコトもあり、ジャマになる荷物を宿から宅急便で自宅へ向けて放りだし、身軽になっていざサーキットへ出発!
…と思ったら、水温が上がらないうちにチョークレバーを戻してしまったせいで、でかいちは見事にエンスト(爆)。プラグがカブったらしく、いくらセルを回してもむなしく「きゅるきゅるきゅる…」と音がするばかりで、エンジンのかかる気配はなし(=_=;)。しばらく放置して、プラグが乾いた頃を見計らって、センタースタンドでバイクを立ててからリトライ!
 「きゅきゅきゅ、…ぶおぉぉん!!」
どうにか再起動させるコトができ、ホッとひと安心。しかし、この騒動のせいで約30分ほど時間をムダにしてしまった(滅)。

この日は決勝日というコトもあり、さすがに駐車場は前日以上の大混雑。係員の誘導に従ってバイクを停め、サーキット内通路を行き交うバイクや車に注意を払いつつ通路を横断し、中央エントランスへと向かう。あまり持って歩く荷物を増やしたくないので、シートザックはバイクにくくりっぱなし。どうせ盗まれやしないでしょ(笑)ってな安易な考えの持ち主であった(爆)。
今回のもてぎでは「エリア指定券」を購入していたため、前日同様に最終コーナー寄りのエリアへ早速突入。90°コーナー突っ込みと大型ビジョンがバランスよく見える席を探して確保。カミさんと交代で食い物を調達し、観戦準備を万端整えた。
各クラスのウォームアップ走行が終了後、ホンダ主催のイベントが始まる。WGPの歴史を飾った往年のヒストリカルGPマシンのデモ走行の後、2002年シーズンからホンダワークスが実戦投入する4サイクルGPマシン・RC211Vが2台、デモ走行を開始した。しかもライダーは、1994年〜1998年にかけて5年連続で500ccチャンプを獲得したマイケル・ドゥーハンと、1983年・1985年500ccチャンプ(うち1985年は250ccクラスとのダブルタイトル獲得!)のフレディ・スペンサーの2人!!もう観衆からはやんやの大歓声。さすがにまだデビュー前のマシンというコトもあり、全開走行とはいかなかったモノの(そもそもライダーが、1人はケガで引退し、1人はとっくに峠を越えきってるのだから全開ランを求めるのがムリか^^;)、往年のチャンプ2人がランデブー走行を繰り広げる様は、やはり胸躍る光景であった。
だが、その一方でがっかりしたのは、スペンサーの見事な太鼓腹(T_T)。フロントがシングルファスナーではなくダブルファスナーになったVANSONのレザースーツも、フレディのふくれた腹を収めるためなんだろうか…と思うと、笑えると同時にひたすらやるせなくなった(滅)。ランデブーというよりは単なるデブ(爆)って感じ。

おとなしく待つ犬。かわいい…(^^) そんなこんなでまず125cc決勝がスタート。今年こそチャンプを狙う宇井が2周目にトップを取ると、得意の逃げをうって後続を引き離しにかかる。2位争いは、ランキングトップのポッジアーリ/同3位のトニ・エリアス(#24/Telefonica Movistar Junior Team HONDA)/エリアスのチームメイトのダニエル・ペドロサ(#26)の3台の争いだったが、5周目の5コーナーでエリアスがハイサイドを起こして戦線離脱!もともと、「若さの勢い」と「単なる傍若無人」を取り違えている感のあるエリアスの走りが嫌いだった俺は、思わず「やったー!」と喜んでしまった(笑)。
レースは宇井がそのまま逃げ切ってトップチェッカー。ポッジアーリが2位に入ったため得点的には5ポイントしか差を縮められなかったが、タイトル獲得に望みをつなぐ価値ある勝利を得た。
一方、もう1人応援していたライダー・上田昇(#5/F.C.C.-TSR)は、トップ集団から若干離されて8位前後を走行中、2コーナー立ち上がりでハイサイドを起こしてクラッシュ!ここ何戦か転倒リタイア続きで低下している運気を変えるコトは今回もできなかった…(T_T)。
250cc決勝が始まる時間帯は、ちょうど昼メシ時にあたり、多くの観客が食料を調達しに席を立つ。一時的にガラガラになったスタンドを見渡していると、ちょこんと客席に座って行儀良く待っている犬を発見(笑)。その可愛さのあまりに、おもわず間近へ寄ってって写真を撮ってしまった(^^;)。

250cc決勝は、PPの原田がトップをキープし、その背後に原田のチームメイトであるマルコ・メランドリ(#5/MS APRILIA Racing)と加藤が続く展開。そして、原田がちょっと後続を引き離しにかかり始めた6周目。4コーナーの立ち上がりでメランドリがハイサイドを起こして転倒!その真後ろを走っていた加藤はそれを避ける術もなく、巻き込まれて転倒(しかも思いっきりメランドリを轢いてるし^^;)。2台揃ってリタイアとなってしまった。
転倒したあげくに加藤に轢かれて傷んでしまったメランドリも痛かったが、もっと痛かったのは加藤。タイトルに王手をかけるレースになるはずが痛恨のノーポイント。しかも、'96年の日本GPにワイルドカード枠で参戦し、3位表彰台を獲得して以来、これまでWGPでは全戦ポイントを獲得してきた。つまり、加藤にとってこれがWGPキャリアで初のリタイア。しかもそれが地元日本でのレース。観客全員から落胆のため息が漏れたが(実際、こんな形での歴史の証人にはなりたくなかったが)、当の加藤はため息どころの心境ではなかっただろう。
レースは、その順位を脅かされる心配の全くなくなった原田が余裕のポールtoフィニッシュ。加藤とのポイント差を24ポイントに戻し、こちらもタイトル獲得に望みをつないだ。2位争いは、シーズン後半になって調子を上げてきた加藤のチームメイト、エミリオ・アルツァモラ(#7)が最終ラップの3コーナーでジェレミー・マクウィリアムズ(#99/MS APRILIA Racing)をかわして2位をゲットした。加藤の転倒した穴を埋めるような活躍に、チームスタッフはピットウォールから身を乗り出して喜びを表していた。

500ccは、予選2位のマッシミリアーノ・ビアッジ(#3/Marlboro YAMAHA Team)がトップをキープし、その背後から様子を伺うように、ランキングトップのバレンティーノ・ロッシ(#46/Nastro Azzurro HONDA)がペースを守ってついていく展開。
しかし、「傲慢な割にノミの心臓(笑)」と言われるビアッジ。6周目のビクトリーコーナーでフロントから切れ込んで一気に転倒!その身体はグリーンゾーンを仰向けになって滑っていく。そのさらに先では、ゴロゴロと何回転もしたマシンが、フロントタイヤのグリップによって宙高く舞い上がり、…そして地面に再墜落。クシャクシャになったYZR500とともに、ビアッジのタイトル獲得の可能性も砕けてしまった。
レースはこれで難なくトップに立ったロッシがゆうゆう逃げ切って優勝。残り3戦でビアッジとのポイント差を68ポイントとし、事実上タイトルを手中にした。PPから今季初勝利を狙ったカピロッシは3位に終わり、またしても優勝を逃してしまった。
結局、どのクラスもトップが逃げをうち、後方では激しい番手争い…という展開。そのせいか、今ひとつ盛り上がりに欠けたような気もする(もちろん、レースそのモノは確かに楽しかったのだが)。

帰りは、少しでも渋滞を避けたかったため、500ccのクールダウンラップ終了と同時にサーキットを後にする。だが、やはり田舎の一本道。それでもサーキットのゲートを出るところから既に渋滞は始まっていた(滅)。しかも道幅が決して広いとはいえないから、スリ抜けも相当なリスクを伴う。諦めて、クルマの流れにのるコトにしたが、せっかちなバイクが後ろからガオガオと車間距離を詰めてアオってくる。
 「混んでんだからしょーがねーだろボケ!アオってくんじゃねぇ!!」
そう思いながら、どうにか渋滞を抜けたのは長らく走ってR4バイパスに入ってから。それでも、快適だったのはつかの間で、北関東道から東北道に合流したらまた渋滞。佐野SAで夕食がてらしばらく休憩を取り、陽がすっかり落ちてから出発。さすがにここではスリ抜けもしたが(もちろん充分に前後に注意を払い、マージンを多くとったが)、やはり上りはそれほど流れるワケでもなく、ストレスも疲れも蓄積する。
外環道の新倉PAでもう1度休憩し、環8の渋滞に備えて鋭気を養って(笑)からいざラストスパート。家に着いたのは、もう22時近くだった。
ウチは、2台の排気量の差が大きいため、2台揃ってツーリングというコトがあまりない。だいたい、このもてぎ観戦くらいである。…でも、それがやはり楽しい。今回は幸いにして雨に見舞われなかったコトもあり、いい気分で旅を楽しめた。
2002年も、バイクで行けるといいな(^^)。

(2日目の走行距離:約70km、3日目の走行距離:約170km)




'01パシフィックGP観戦記その1へ      ふらりハーフスロットルTopへ     


i-mak!!トップへ