忍者・や行
や
薬師寺天膳(
甲賀忍法帖)
伊賀の忍者。鍔隠れ十人衆のひとり。『甲賀忍法帖』中で最強の忍者と言って差支えないでしょう。何と言っても、彼の忍法は「不死の術」なのですから。しかも、そのような術を操る男が、「女のようにやわらかな声」で喋り、姿も「色白で、ノッペリとして目がきれながで、ややふとりかげんのからだにも、女のように柔らかな線があった」(ノベルズp.48)というのですから、なおのこと気味悪うございます。一度死んだ天膳が再生する様子は、講談社ノベルズならばpp.182-194において描写されています。
彼は多くの甲賀忍者を倒しています。一回倒されたのが起き上がって逆に殺し返すというパターンが多く、このしつこさからすればホラーもの向きの人材かもしれません。ともかく、倒した相手は、地虫十兵衛、霞刑部、如月左衛門、陽炎の四人。まあ、死なないならそれぐらいやらなければいけませんね。最後は、同じ伊賀者である朧の破幻の術によって倒されます。年甲斐もなく若い娘を追い回した罰があたったのかもしれませぬ。
夜叉丸(
甲賀忍法帖)
伊賀の忍者。鍔隠れ十人衆のひとり。同じく十人衆の蛍火の恋人。お幻とともに駿府に赴き、風待将監と忍法比べをしてみせます。彼の姿は「若者というより、美少年である。服装は山国から出てきたらしく粗野なものであったが、さくらいろの頬、さんさんとかがやく黒瞳、まさに青春の美の結晶のようであった」(ノベルズp.9)と描かれます。彼の忍法は、髪の毛を加工した縄による縄術です。
「たちまち、一本の刃が、この奇怪な縄にからまれて、空中たかくはねあげられた。鼓膜をきるようなするどいうなりを発して横になぐる縄に、二人の武士が大腿部と腰をおさえてくずれふした。縄は夜叉丸の両手から、二条となってたぐり出されていた。そばへ肉薄するどころか、あとの二人も、三メートル以上もの位置で、投縄にかかった獣みたいに縄にくびをまきつけられて悶絶した」(ノベルズp.9)
しかし、柳生流相手にはかくも威力を発揮した縄術も実戦で揮われる場面はなく、おまけに人別帖は盗まれ、如月左衛門にはだまされ、霞刑部にはなすすべも無く殺されてしまうという、良いところのまったく無い役回りを演じた夜叉丸でありました。
この髪を利用した術のヴァリエーションには、『魔界転生』中の天草四郎による「忍法髪切丸」や、『柳生忍法帖』における香炉銀四郎の霞網などが挙げられるでしょう。
山城十太夫(
忍者月影抄)
ゆ
お弓(忍法忠臣蔵)
よ
万軍記(忍法忠臣蔵)
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