受話器をおいたミロは、の事を考え続けていた。

が聖域に来たときから好意は抱いていた。
彼女の笑顔、明るさ、他の奴らもそんな印象をもったに違いない。
そのうちいくつも小さな嬉しい発見をするようになって・・・
自分にだけみせてくれる、可愛らしい笑顔

 ”ミロ”と呼び捨てでよんでくれること


でもそれらは、自分がを好きになっていたから
嬉しいと感じるのだと気づいた・・・

暫くは本当の心を隠して、の気持ちがどこにあるのか
懸命になって探った

そのうち”もう自分の気持ちを伝えても良い頃だろう”と
に告白することを決めた

そんなある日は天蠍宮に息をきらして嬉しそうに走って来た。
「ミロ、私・・・!」
「どうしたんだよ?いい事でもあったのか?」
いつも以上にキラキラしている。
「私、・・・カノンに付き合ってくれって言われて・・・!」
ショックを受ける俺とは逆に、目を潤ませて喜びを隠せずにいる。
頭の中が受けた衝撃で冷たくなっていく。
「ミロ・・・私、うれしくて、どうしようもないの!!」
「そうか。よかったな。カノンはいいヤツだ。の事を大切にしてくれるはずだ。」
「ありがとう、ミロ」


 後にも先にも、あれほど物事を後悔したことはなかった・・・


その後は

 友達のふりして・・・・
 ただの男友達のふりして・・・
 らしくないと思いつつ、嘘ばかりついて・・・
 酒を飲んで忘れようとしたり、散々色々ためしてみたが
 を想う気持ちはますます熱を帯びて・・・
 ”奪ってしまいたい・・・!”
 心の中で嵐が吹き荒れた・・・
 自分の中でどんどん限界が近づいていた


俺は上手く気持ちを隠しているつもりだったが、
そうでもなかったらしい。
だんだんが俺を避けるようになってきた
 

 ”俺の気持ちを知っているならこたえてくれ!”


そしてついに、隠すのをやめることにした 


 ”奪えないのなら、せめて1つだけ願いを叶えてほしい。に触れたい・・・。”



そう思って夜中に電話した。
留守電になっていたが、それでいい。
、君は優しいから俺の申し出を拒んだりしないだろう。
汚いのは重々承知だが、チャンスはカノンのいない今だけ・・・!
自宮の中なら、何がおころうとの小宇宙を隠し通せる自信がある。








夕方。
任務を終えたミロは天蠍宮に戻ってきた。
ひんやりとした風が髪を撫でる。
君の足音が運命のカウントダウンになる。
俺の本当の気持ちを伝え、君に触れ・・・今までの関係に終止符をうつ。
その後はどうなるかわからない。


 だが、どんなことになろうと後悔はしない・・・


聖域の空に星が輝きだしたころ、
はミロの前に姿をあらわした。





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