「この世の果て」の楽園・セイシェル旅行記(2001/12/26〜2002/01/03)


その2(12/27〜29・バード島滞在)

と、いうコトで。わずか6時間前に降り立ったばかりの空港へトンボがえり(爆)。セツ子さんの案内で、空港の手荷物預り所に俺のスーツケースを預ける。…というのも、バード島行きの飛行機は「1人につき5kgまで」というラゲッジウェイトの制限があるのだ。そのため、我々はMeridien Barbaronsの部屋で、荷物を「2人で10kg」に収めるべく、いらない荷物を俺のスーツケースに移し替え、バード島で使う荷物はカミさんのスーツケースへ…という作業を必死こいてやっていたのだ。眠るヒマがなかったのはそれも理由だったりして(苦笑)。
バード島行きの飛行機は、1日1便しかない(マヘ島発10:50)。しかも、行った飛行機がそのままマヘ島へすぐに折り返すので、バード島に行く場合はイヤでも1泊以上はせねばならない。おまけに、あてがわれる飛行機は、国内線専用の双発のプロペラ機。定員わずか24人(^^;)。もっとも、バード島唯一のホテルであるBird Island Lodgeには、フロントとレストランを兼ねたセンター棟の他に、宿泊客用のロッジが25棟のみ。1泊で帰るような客はいないから、これで充分といえば充分なのだが。

一応滑走路…らしい(爆) プロペラの激しくうなる音を聞きながらマヘ島を離陸し、飛ぶこと30分。いよいよ今回の旅のハイライト・バード島に着陸…が、通常イメージしているコンクリート敷きの滑走路は見えない。
よく見ると、島の南部にだだっ広いグラスエリアが。「…あれが『滑走路』?」と思っていると、果たして飛行機はそこに勢いよくランディング。ぐるりと回って駐機エリアに入ると、…もう目の前にはロッジがあった。
ロッジの係員に先導され、センター棟でチェックイン。来た客・帰る客を含めても、東洋人は俺とカミさんの2人だけ(^^;)。そのせいか、みんなが俺たちをじろじろ見ているような気がする…。
部屋は「15号棟」。センター棟から4棟南に歩いたところ。食事とかの時にあまり歩かなくてもいいのはラッキー♪って感じか。
ちなみにこのロッジ、島には宿泊客とロッジ従業員&その家族しかいないコトもあり、何と部屋のドアにはカギがない。貴重品収納用のセーフティボックスもない(貴重品を預ける場合はフロントへ預ける)。おまけに、シャワールームに至ってはドアそのモノがない(核爆)。何とまァ開放的な雰囲気か(笑)。
でも、部屋の雰囲気はとてもよい。天蓋&蚊帳つきのダブルベッドがオシャレ(^^)。そして、テラスに置かれた椅子に身を預ければ、ヤシの木陰のその向こうにクリスタルブルーに輝くインド洋が見える。この時点ですでに「来てよかったぁ…」と心から思っていた。

ヤドカリものんびり。海辺の風景 しばらく部屋で休み、昼食をとった後、さっそく水着に着替えてビーチへ。まずは、滑走路を横切って(笑)反対側にあるビーチへ。波は彼方のラグーンで砕け、ビーチは穏やかに凪いでいる。シュノーケリングにはもってこいのロケーション。早速喜びいさんで海へと突入♪
…だが、サンゴがごろごろしており、実際サンダルや足ひれをつけていないと歩きづらいコトこの上ない(-_-;)。ビーチへ戻ってサンダルを履き、デジカメに防水ケースをセットして、今度はぼちゃりと海の中をのぞいてみる。
透明度の高い海の中。今まで見たコトもないような景色が目の前にパノラマで広がる。…でも魚は目の前を通ってくれない。息が続かなくなって顔をあげると、ちょっと先で魚が「すい〜っ」と水面すれすれを泳いでいく。魚を撮ろうと思って潜ると、なかなか現れてくれない。で、顔をあげると(以下繰り返しT∇T)。…結局諦めて、ビーチでのんびり太陽に炙られるコトにした(笑)。
砂浜にところどころ口を開けている小さな穴からは、ヤドカリやカニが時々顔を出し、ちょろちょろ〜っとビーチを横切っていく。陽ざしと風にさらされ、時間の感覚はどんどん失われていく…
 「…あ〜、もう何もしたくないぞ、…しないぞー…」
そうこうしているうちに、徐々に太陽は西へと傾いていく。「セイシェルといえば」の夕陽を見逃したら泣くに泣けない(笑)ので、いったん宿に戻るコトに。ただ、来たルートを単純に戻るのも面白くないと思い、島の南側のビーチをぐるりと回って戻るコトにした。さすがに砂浜なので、足をとられて若干歩きにくかったが、左側に無限の如く広がるインド洋を眺めながら歩くのはとても爽快な気分だった。

だが、島の西側・ちょうどラグーンが切れて遊泳可能なビーチに変わるあたりで、立て続けにとんでもないモノを拝まされるハメに。それは、…全裸でくつろぐオッサンの姿。しかも、計2組3人(滅)。トップレスのオネーチャンもまだ目撃していないうちから、ボトムレスのオッサンを目撃するとは思わなかった(-_-メ)凸。かなりいい気分だったのがちょっと萎えたのは言うまでもない(爆)。しかも後で推察できたのだが、片方(2人組の方)はゲイのカップルだった模様(核爆)。

部屋に戻って、遅い夕食(20:00かららしい)まではヒマになる。が、そのヒマを持て余すのもまた楽し、という感じでくつろいでいると、ロッジの管理人さんがテラスにやってきて、何ごとか話しかけてくる。聞くと「今晩18:30からビーチでウミガメの子供を海に放流するから、よかったら見にこないか?」とのこと。面白そうだったので、1も2もなく「見に行く」と答えた。
そして18時すぎ。海が夕陽に赤く染まる…。感動的な風景だ。だが、この時期セイシェルは雨季にあたるコトもあり(といってもずっと雨が降り続くワケではないのだが)、空には若干雲が多い。そのため、まん丸い太陽が海面を焦がしながら沈んでいく様は見られなかった。そして、この旅の間じゅう、日没のたびにその「雲」につきまとわれるコトになったのだが…。
ビーチの若干北側、指定された地点に行くと、すでに他にも何人かの宿泊客が来ていた。ロッジの管理人が、手桶から子ガメを1匹ずつ手に取り、砂浜へ放す。体長5cmほどの小さなカメが、何十匹も一斉に海を目指してよちよちと這っていく様は非常にかわいく、それを眺めている俺も、なぜか自然と笑顔になっていた。
やがて、波が打ち寄せる毎に1匹また1匹と海に飲み込まれていき、10分もすると全てのカメが大海原へ旅立っていった。「あの子ガメがこの島へ卵を産みにくるまで、いったい何年かかるのかなー」などと思いながら、俺はずっとそれを見ていた。

明けて翌日。澄みきった青い空からは、これでもかとばかりに強烈な陽ざしが降り注ぐ。
 「今回の旅では日焼けしまくって、備長炭みたいに真っ黒になってやる!」
が目標だった俺にとっては、願ってもない絶好の天気。朝食をとってひと休みすると、1も2もなくロッジの目の前に広がるビーチへ繰り出した。

こんな景色をほとんどひとり占め♪ 成田で購入したサンオイルを全身にすり込んで、ビーチにごろんと横になる。海流や波に長年洗われて細かくなったサンゴを主成分とする砂浜は熱がこもりにくく、ビーチタオルを敷かずに直接横たわっても熱くない。ゆっくりと目を閉じ、時間と風の流れるままに身を任せる。そして、身体がほてってきたら起き上がり、打ち寄せる波に飛び込んでクールダウン。ひとしきり泳いだらまたビーチへ戻り、今度は太陽に洗われる…。

 「う〜ん、何てゼイタクなひととき♪」

遠くでは、ヨーロッパから来たカップルがトップレスでいちゃいちゃしてる(笑)。でも、そんなのはどうでもいい。
何もしなくていい。何もしない、ムダな時間を誰はばかるコトなく満喫している。それがたまらなく嬉しかった。ず〜っと、ここでこのままこうしていたい、…時々うとうとしながら、心からそう思った。

超巨大なリクガメ。こんなのが何匹かいた 昼食の時間になったので、いったん部屋に戻って正面から外へ出ると、部屋の前で大きなリクガメがのんびりと草を食んでいた。何でもこの島には、ギネスブックにも掲載されたコトのある世界一長寿のカメ(推定年齢200歳!)がいるとのコト。しかもオスなのに、なぜか名前は「エスメラルダ」(笑)。
 「ひょっとして、こいつがエスメラルダか?」
と思い、近寄ってじ〜っと眺める。しかし、カメは「人間なんて見飽きたよ」ってな感じで、全くこちらを気にするそぶりもなく、マイペースでのっそりと歩きつつ、草をもぐもぐ食っている。真横まで寄って、甲羅をなでたりノックしたりしてみた。とても硬くて、俺程度の体重の人間だったら乗っても気づかないんじゃないか?と思った。
「きっとコイツ、俺らが死んだ後もここでこうしてのんびりと生きてるんだろうな」と思うと、何だか妙におかしくなった。ただでさえのっそりしているカメを、さらにのんびりさせてしまうのがセイシェルという場所の持つ魔力なんだろうか(←それはどうかな?^^;)

午後も午後とて、ビーチでひたすらご〜ろごろ(^^)。しかし、どうも俺は日焼けしにくい体質なのか、思っていたよりは黒くならず、それがちょっと残念だった。
そのうち、陽も傾いてきたため、部屋に戻るコトにした。が、ただ真っすぐ戻るのでは面白くない。
 「昨日は南岸を回ってきたから、今度は島の北側を回ってみようか」
というコトで、カミさんと2人でぐるりと島を回るコトにした。
遠くのラグーンで波が押し返される東海岸と違い、西側のビーチは遊泳に最適な砂浜。しかし、粒の細かい砂は歩く場所を選ばないと足が埋まってしまい非常に歩きにくくなる。また、潮の干満がダイレクトに岸に打ち寄せるため、あまり波打ち際を歩いていると「ざぱ〜ん!」と食らってしまう。しかも、海流の関係なのか、低気圧が来ているわけでもなさそうなのに波はちょっと荒い(特に島の北端ではその傾向が強かった)。
その島の北端・セグロアジサシのコロニーになっているエリアは、砂地の部分が非常に広い。そして、その背後に広がる森には、シーズン(4〜10月)でもないのに、多数の鳥が羽を休めていた。
振り返ってビーチを見れば、名前も知らない別の鳥がちょこまかと動き回っている。しかも、波が打ち寄せるとものすごいスピードで走って逃げる(^^;)。「何で羽があるのに飛んで逃げないんだろう…」と思いながらついつい見入ってしまった。
しばらく歩くと、やがてビーチ全体が藻に覆われ、波もまったく立たなくなった。ラグーンに囲まれたエリアに入ったらしい。…と、反対側から大きな犬を連れてビーチを散歩する人が。しかもこちらに何ごとか声をかけている。よく聞くと「ちょっと待て」と言っているように聞こえる。
「??」と思っていると、右手の茂みからウミガメが突然現れた。かなりデカい。「おぉっ!」と驚く俺たちをよそに、ウミガメはずるずると砂の上を這って、海へ帰っていった。
犬を連れた人いわく、「あのウミガメは卵を産んでたんだ。めったに見れないモノを見れてラッキーだったね、君たち」との由(←たぶんそう言ってたと思われ。実際はてんでヒアリングできず^^;;;)。日本にいたらそうそう簡単には拝めない自然の営みの数々を目の当たりにし、ただただ圧倒されるばかりだった。
そんなこんなでぐるりと島を半周し、滑走路を横切ってロッジに戻る頃にはすっかり空の色も濃くなり始めていた。疲れたけど、とても楽しい『プチアドベンチャー』だった。

夕食は前日に続きバイキング形式。現地の名物である、サフランをたっぷり使ったクレオール料理こそ出なかったものの、肉・魚・パスタ・米(インディカ米)・野菜と、そのバリエーションは非常に豊富。しかも、どれもこれも非常に美味!! ちょっと味付けは濃いめだったが、あまりにうまいのでついつい食いすぎてしまった。
ちなみに、食事の美味さはバード島に限らず、この旅で宿泊したホテルの全てに共通していた。で、その度に食いすぎたせいか、毎日早い時間に眠くなってしまい、あっという間に「おやすみなさい」になってしまった。たぶん、ジェットラグは関係ないと思う…(滅)。
ちなみに、おいしいのは食事ばかりではなかった。グロリアツーリストからもらった「虎の巻」でも、ここのロッジのデザートは「伝説的に美味しい」と書いてあったのだが、その記述に偽りはなかった。アイスクリームを除けば(笑)どのデザートもしつこくない甘さでとても美味!いくらでもちょうだい(^^;)って感じだった。

そして、夢のような2泊はあっという間に過ぎ去り、早くもバード島出発。カミさんと2人して
 「帰りたくなぁ〜い(T∇T)」
とダダをこねたが、誰も聞いてくれるはずなし(爆)。11:50に泣く泣く機上の人となり、バード島を後にしたのだった。
その機中から窓の下を見下ろすと、さっきまで過ごしていたバード島がどんどん小さくなっていく…。

 「さよなら、楽園の日々…」

30分後、マヘ島でまた飛行機を乗り換え、次の宿泊地・プララン島へと向かうのであった。

さよならバード島(T_T)/~~~

で、プララン島到着以降の話はその3にて。




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