その2(12/27〜29・バード島滞在)
と、いうコトで。わずか6時間前に降り立ったばかりの空港へトンボがえり(爆)。セツ子さんの案内で、空港の手荷物預り所に俺のスーツケースを預ける。…というのも、バード島行きの飛行機は「1人につき5kgまで」というラゲッジウェイトの制限があるのだ。そのため、我々はMeridien Barbaronsの部屋で、荷物を「2人で10kg」に収めるべく、いらない荷物を俺のスーツケースに移し替え、バード島で使う荷物はカミさんのスーツケースへ…という作業を必死こいてやっていたのだ。眠るヒマがなかったのはそれも理由だったりして(苦笑)。
バード島行きの飛行機は、1日1便しかない(マヘ島発10:50)。しかも、行った飛行機がそのままマヘ島へすぐに折り返すので、バード島に行く場合はイヤでも1泊以上はせねばならない。おまけに、あてがわれる飛行機は、国内線専用の双発のプロペラ機。定員わずか24人(^^;)。もっとも、バード島唯一のホテルであるBird Island Lodgeには、フロントとレストランを兼ねたセンター棟の他に、宿泊客用のロッジが25棟のみ。1泊で帰るような客はいないから、これで充分といえば充分なのだが。
部屋に戻って、遅い夕食(20:00かららしい)まではヒマになる。が、そのヒマを持て余すのもまた楽し、という感じでくつろいでいると、ロッジの管理人さんがテラスにやってきて、何ごとか話しかけてくる。聞くと「今晩18:30からビーチでウミガメの子供を海に放流するから、よかったら見にこないか?」とのこと。面白そうだったので、1も2もなく「見に行く」と答えた。
そして18時すぎ。海が夕陽に赤く染まる…。感動的な風景だ。だが、この時期セイシェルは雨季にあたるコトもあり(といってもずっと雨が降り続くワケではないのだが)、空には若干雲が多い。そのため、まん丸い太陽が海面を焦がしながら沈んでいく様は見られなかった。そして、この旅の間じゅう、日没のたびにその「雲」につきまとわれるコトになったのだが…。
ビーチの若干北側、指定された地点に行くと、すでに他にも何人かの宿泊客が来ていた。ロッジの管理人が、手桶から子ガメを1匹ずつ手に取り、砂浜へ放す。体長5cmほどの小さなカメが、何十匹も一斉に海を目指してよちよちと這っていく様は非常にかわいく、それを眺めている俺も、なぜか自然と笑顔になっていた。
やがて、波が打ち寄せる毎に1匹また1匹と海に飲み込まれていき、10分もすると全てのカメが大海原へ旅立っていった。「あの子ガメがこの島へ卵を産みにくるまで、いったい何年かかるのかなー」などと思いながら、俺はずっとそれを見ていた。
明けて翌日。澄みきった青い空からは、これでもかとばかりに強烈な陽ざしが降り注ぐ。
「今回の旅では日焼けしまくって、備長炭みたいに真っ黒になってやる!」
が目標だった俺にとっては、願ってもない絶好の天気。朝食をとってひと休みすると、1も2もなくロッジの目の前に広がるビーチへ繰り出した。
午後も午後とて、ビーチでひたすらご〜ろごろ(^^)。しかし、どうも俺は日焼けしにくい体質なのか、思っていたよりは黒くならず、それがちょっと残念だった。
そのうち、陽も傾いてきたため、部屋に戻るコトにした。が、ただ真っすぐ戻るのでは面白くない。
「昨日は南岸を回ってきたから、今度は島の北側を回ってみようか」
というコトで、カミさんと2人でぐるりと島を回るコトにした。
遠くのラグーンで波が押し返される東海岸と違い、西側のビーチは遊泳に最適な砂浜。しかし、粒の細かい砂は歩く場所を選ばないと足が埋まってしまい非常に歩きにくくなる。また、潮の干満がダイレクトに岸に打ち寄せるため、あまり波打ち際を歩いていると「ざぱ〜ん!」と食らってしまう。しかも、海流の関係なのか、低気圧が来ているわけでもなさそうなのに波はちょっと荒い(特に島の北端ではその傾向が強かった)。
その島の北端・セグロアジサシのコロニーになっているエリアは、砂地の部分が非常に広い。そして、その背後に広がる森には、シーズン(4〜10月)でもないのに、多数の鳥が羽を休めていた。
振り返ってビーチを見れば、名前も知らない別の鳥がちょこまかと動き回っている。しかも、波が打ち寄せるとものすごいスピードで走って逃げる(^^;)。「何で羽があるのに飛んで逃げないんだろう…」と思いながらついつい見入ってしまった。
しばらく歩くと、やがてビーチ全体が藻に覆われ、波もまったく立たなくなった。ラグーンに囲まれたエリアに入ったらしい。…と、反対側から大きな犬を連れてビーチを散歩する人が。しかもこちらに何ごとか声をかけている。よく聞くと「ちょっと待て」と言っているように聞こえる。
「??」と思っていると、右手の茂みからウミガメが突然現れた。かなりデカい。「おぉっ!」と驚く俺たちをよそに、ウミガメはずるずると砂の上を這って、海へ帰っていった。
犬を連れた人いわく、「あのウミガメは卵を産んでたんだ。めったに見れないモノを見れてラッキーだったね、君たち」との由(←たぶんそう言ってたと思われ。実際はてんでヒアリングできず^^;;;)。日本にいたらそうそう簡単には拝めない自然の営みの数々を目の当たりにし、ただただ圧倒されるばかりだった。
そんなこんなでぐるりと島を半周し、滑走路を横切ってロッジに戻る頃にはすっかり空の色も濃くなり始めていた。疲れたけど、とても楽しい『プチアドベンチャー』だった。
夕食は前日に続きバイキング形式。現地の名物である、サフランをたっぷり使ったクレオール料理こそ出なかったものの、肉・魚・パスタ・米(インディカ米)・野菜と、そのバリエーションは非常に豊富。しかも、どれもこれも非常に美味!! ちょっと味付けは濃いめだったが、あまりにうまいのでついつい食いすぎてしまった。
ちなみに、食事の美味さはバード島に限らず、この旅で宿泊したホテルの全てに共通していた。で、その度に食いすぎたせいか、毎日早い時間に眠くなってしまい、あっという間に「おやすみなさい」になってしまった。たぶん、ジェットラグは関係ないと思う…(滅)。
ちなみに、おいしいのは食事ばかりではなかった。グロリアツーリストからもらった「虎の巻」でも、ここのロッジのデザートは「伝説的に美味しい」と書いてあったのだが、その記述に偽りはなかった。アイスクリームを除けば(笑)どのデザートもしつこくない甘さでとても美味!いくらでもちょうだい(^^;)って感じだった。
そして、夢のような2泊はあっという間に過ぎ去り、早くもバード島出発。カミさんと2人して
「帰りたくなぁ〜い(T∇T)」
とダダをこねたが、誰も聞いてくれるはずなし(爆)。11:50に泣く泣く機上の人となり、バード島を後にしたのだった。
その機中から窓の下を見下ろすと、さっきまで過ごしていたバード島がどんどん小さくなっていく…。
「さよなら、楽園の日々…」
30分後、マヘ島でまた飛行機を乗り換え、次の宿泊地・プララン島へと向かうのであった。
で、プララン島到着以降の話はその3にて。