「この世の果て」の楽園・セイシェル旅行記(2001/12/26〜2002/01/03)


その4(12/31〜1/3・プララン島滞在その2〜帰国)

プララン島滞在3日目は大晦日。翌日は元旦であるため、ほぼ全てのショップがシャッターを下ろしたままとなってしまう。よって、土産を買うチャンスはもうこの日しかなかった。
そのため、朝食をとってまず最初に向かったのは、ホテルのすぐ近くにあるスーベニールショップ。だが、今ひとつピンとくるアイテムがない。唯一、セイシェル名物のリキュール『Coco D'Amour』(セイシェルのみに自生する植物・フタゴヤシの実をかたどったボトルに入ったリキュール)があったが、値段が表示されておらず、持ち合わせに自信のなかった俺はそこで買うのをやめてしまった(このせいで翌日まで苦労するハメになったのだが)。
結局、そこからもう少し先にあったスーパーマーケット(といっても日本のコンビニにも満たない小さな店)に入り、お徳用サイズのバニラティーを購入。カミさんは、地元のスナック菓子を会社の同僚への土産として大量に購入。チーズ味のライスパフみたいなヤツだったのだが、これがまた「いかにも」な色(笑)。着色料が合成なのかどうかは知らないが、日本ではちょっとムリめかな?という感じだった(^^;)。

いかにも…(^^;) このプララン島には、セイシェル国内で2ヶ所しかない世界遺産のうちの1つがある。島の真ん中を占める国立公園・Vallee de Mai がそれだ。世界でもセイシェルだけ・セイシェル国内でもこのプララン島だけに自生する珍しい植物、Coco de Mer(フタゴヤシ)が集中して林立する場所なのだ。
このフタゴヤシは、その実に最大の特徴がある。表面を覆う殻をむいてみると、そこにはまさしく女性のグラマラスなヒップを彷彿とさせる造形が現れる。しかもごていねいに、この実をつけるのが雌株なのだが、雄株の方は細長い棒状の花房を有している。イヤでもを連想させる形(笑)。セイシェルを「愛の楽園」にしているのはコレだったのかとすら思ってしまう(さらに笑)。
余談だが、この実がある程度の大きさに成長するまでは非常に長い時間がかかる。20kg程度の大きさに育つまで、早くても20年・ともすれば40年はかかるとか。樹齢も、長いモノでは800年(!)・平均でも200〜400年程度だという。バード島にいたリクガメ同様、悠久の時間を生きる存在なのだ。
せっかくだから、この Vallee de Mai にも行ってみようというコトになった。前日同様、ホテルでタクシーを手配してもらい、島のド真ん中にある Vallee de Mai の入口まで行く。
ところが、国立公園の入口に着いた瞬間、俺たちを出迎えたのは激しいスコール。ホテルを出る時は眩しい青空だったコトもあり、傘を持たずに出てきたため、公園入口で雨宿りをするハメに。幸いにして、入口にある管理事務所の横には屋根のある待ち合いスペースがあったため、びしょ濡れにはならずに済んだが、雨が小降りになるまで小1時間待たされた(滅)。

鬱蒼とした風景 『Bitter Lemon』を飲みつつ(爆)待っていると、ようやく雨も上がってきた。むせ返るような高い湿度の空気の中、入園チケットを買ってようやく公園の中に入る。園内散策コースは先ほどまでのスコールでぬかるんでおり、歩くのにはかなり条件が悪い。サンダルで来なくてよかったとつくづく思う。
頭上はるか高くまで生い茂った Coco de Mer のおかげで、真昼だというのに若干鬱蒼とした世界。雄株ともなれば高さ30mまで育つというのだからそれも当然といえば当然なのだが。その姿に「自然の驚異」を感じながら、中央の散策コースを歩く。途中、午前中から来園していた人々と何度かすれ違い、その度に「Hi!」と軽く挨拶を交わす。見知らぬ異国でのちょっとしたコミュニケーションに、ちょっと心が和む。でも1組だけ、こちらが挨拶してもノーリアクションだった家族連れがいて、ちょっとだけムッときた。
 「何をお高くとまってやがんだ。気取ってんじゃねーぞボケ」
と、小さく毒づいてみる。こんな時は、相手が日本語を解さないと楽でいい(笑)。
管理事務所でチケットと一緒にもらったパンフレットを見ながら歩き、入口からもっとも遠い場所へとくる。園内地図を見ると、“Shelter”と書かれた建物が。何だろうと思いながらそこへ行ってみると、そこは展望台だった。やっつけ仕事(爆)のようにしつらえられたベンチに2人して腰をおろし、ミネラルウォーターを飲む。遠くを見ると、視界の下半分には一面に広がる Coco de Mer の森。そして彼方には太陽を浴びてきらめくインド洋。この島を征服したようないい気分になり、それまでの疲れもすっかり忘れてしまった。
そこへ、物おじもしない鳥が1羽やってきた。パンフレットを見ると“BULBUL”という鳥らしい(もちろん日本名なんて不明)。カメラを向けても逃げるそぶりもなし。しっかり構えてシャッターを切ると、いい写真が撮れていた。でも、この島にしか(というより、この公園の中にしか)生息しない珍鳥・Black Parrot(クロオウム)を写真に収めそこなったのは残念だった。

キレイな鳥。誰か日本名ご存じでしたら教えて ひとしきり休んだ後は、公園の北エリアを周回するコースを回って入口へ戻る。相変わらずむせ返るような空気に包まれながらも、大自然をすっかり満喫しながら管理事務所の所まで戻ったのだった。
帰りのタクシーの運転手は、来る時に乗ったタクシーとは別の人だった。それぞれにスケジュールがあるらしく、運転手同士で話がついていたらしい。「Indian Ocean?」と俺たちに向かって訊いてきたので、迎えにきたのだと解った。
タクシーに揺られてしばらくし、ホテルが近づいた頃、運転手が何やら俺たちに話しかけてくる。「?」と思いよくよく聞いてみると、
 「ドルからルピーへの両替はどうだ?ブラックマーケットだけど」
…と言っているらしい。「『ブラックマーケット』って(爆)」とは思ったが、ちょうどセイシェルルピーの残額も少なくなってきていたコトに加え、米ドルを使う機会は全くなかったため、ドルばかり妙に余っている状態だった。それに、おそらく運転手の側も外貨が、−強い米ドルがほしいのだろうと思い、その時点で余っているドルの多くをセイシェルルピーに両替してもらった。これが結果的には翌日役に立つのだが。

そんなこんなでホテルに戻ってきた頃にはもう夕方。近隣の店もほとんどシャッターを下ろしてしまい、結局『Coco D'Amour』は入手できず。翌日は元旦で、どこの店も閉まっているコトが予想されたため、『Coco D'Amour』を買うのはもう不可能かと思いちょっとがっくりきてしまった。
夕食後、この日は“New Year's Eve”というコトもあり、日付が変わるまで夜通しバンド演奏つきでパーティー状態。俺らもそこへ行って盛りあがろう!…と思ったのだが、この日も満腹になるとともに睡魔にノックダウンさせられてしまった。23時半にいったん目が覚めたにもかかわらず、次に気がついたのは翌日の朝(核爆)。記念すべきセイシェルでの年明けの瞬間は、爆睡状態だったとさ(T∇T)。

翌日−1月1日は、プララン島からマヘ島への移動。シンガポールへの帰りの飛行機が10時50分離陸のため、前日はどうしてもマヘ島滞在とならざるを得ないのだ。フロントの人にお礼を言い、MASON'Sのバスに乗り込んで空港へ。そしてマヘ島へ戻ると、

 空港の売店で『Coco D'Amour』を売っているではないか!

たぶんここを逃したらもう入手チャンスはないだろうと思い、1も2もなく購入。200ルピーだか400ルピーだかと結構高価だったが、どうにか手に入れるコトができてひと安心だった。

マヘ島での最後の1泊は、Coral Strand というホテルに滞在。マヘ島のメインビーチともいえる Beau Vallon に面したリゾートホテル。この旅で初の、バスタブ&エアコン付きの部屋(笑)。だが、ホテル規模の割にサービスはよくなかった。全体的にヨーロピアンびいきな雰囲気のあるホテルマンの応対もさるコトながら、当日の夕食の際は、客の多さに対してフロアスタッフの数が圧倒的に少なすぎ。ドリンクや灰皿がほしくて声をかけても、いつまでたっても頼んだモノを持ってくる気配すらない。2人そろってここでは結構イヤな思いをしたので詳細は省くが、最後の最後でちょっとばかりミソをつけられた気になった。料理はセイシェルのホテルの例にもれず美味だったが…。

そして翌日。ついにセイシェル出国の日。俺らとは別のホテル&コースを手配したグロリアのお客さんとともに、セツ子さんから出国手続きの説明を受ける。しかし、去り難き思いはともに強く、説明も半ば上の空だった…。
空港のアナウンスが、シンガポール行きの搭乗手続き開始を告げる。名残惜しい気持ちを抱えながら列に並ぶ俺たちを、セツ子さんが見送ってくれた。俺は、財布の中のありったけのルピーコインをセツ子さんに渡しながら、その手をしっかり握りしめ、精いっぱいの謝辞を述べた。
素敵な時間を提供してくれたコトに対する感謝の気持ちを込めて。

やがて、定刻通りに Air Seychelles のボーイング767はシンガポールへ向かって離陸。楽園の日々は、本当に終わりを告げたのであった。

♪いつかセイシェルの夕陽を見よう♪

往路と違い、帰路のチャンギ空港でのトランジットタイムはわずか1時間15分(爆)。免税店でちょっと買い物をしたらあっという間に成田行きのJALの搭乗時間が来てしまった。
真冬に似つかわしくない「東京ディズニーリゾート」カラーリングのボーイング747は、6時間ほどのフライトで俺たちを現実の世界−氷点下の成田空港へ連れてってくれた(笑)。

長いようで短い『この世の果ての楽園』のお話はこれにて。
マヘ島&プララン島だけのコースなら、30万円台からで行けますよ。よかったら、貴方もこの島々で、全てを忘れてみてはいかがですか?
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