忍者・た行



大道寺鉄斎(柳生忍法帖

檀宗綱(忍者月影抄

 



筑摩小四郎(甲賀忍法帖
 
伊賀の忍者。鍔隠れ十人衆のひとり。薬師寺天膳の従者格の忍者。その姿については、「まだはたち前後の田舎じみた若者」としか書かれておりませんが、彼の忍法は抜群の攻撃力を持つものです。
筑摩小四郎の妖術をふせぐすべが世にあろうか。彼は何物を吹きもせず、飛ばしもしなかった。彼は吐くのではなく、吸うのであった。強烈な吸息により、ややはなれた虚空に小旋風をつくる。その旋風の中心に真空が生ずるのだ。この真空にふれたが最後、犠牲者の肉は、鎌いたちに襲われたように内部からはじけ出すのだ」(ノベルズp.93)
 どんな肺活量しとるんだ、とツッコミのひとつも入れたくなります(^^; しかし彼はこの術の強力さゆえに、甲賀弦之介の瞳術によって自分の顔を破裂させてしまい、物語の途中からは包帯で頭をグルグル巻きにした姿になってしまいます。さらにしかし、怪我の功名というべきか、目が見えなくなったために室賀豹馬の瞳術にかかることなく、豹馬を倒すことができました。
 彼自身は、朱絹を装った陽炎に殺されますが、これは忍者たちの中で一番良い死に方だったかも知れません(^^; 小四郎の吸息術はその後、『海鳴り忍法帖』などにその姿を現します。



月ノ輪求馬(忍法忠臣蔵)

 



 

 



塔ケ沢監物

百々銭十郎(忍びの卍
 根来・伊賀・甲賀の忍法審査における甲賀組の代表選手。甲賀版「屋根裏の散歩者」(^^; 「月代をのばしている。長い顔だ。しかし、ぞっとするほどの美男であった」という姿は、忍法を使う前後において「グニャグニャして、頽廃的な影のある」から「その顔とからだから放射されるのは、名状しがたい凄惨の気」という印象にまで変化します(ノベルズpp.51-60)。
 彼の操る忍法は、一つには「
日とともに全身精液に満ちあふれんばかりとなって女人を悩乱させる忍法「白朽葉」」(同p.69)であり、もう一つはそれを注ぎ込んだ女人の血を剣に塗り、それでもって人を斬る忍法「赤朽葉」なのです。銭十郎が
あの血の走るところ、その線に従って、相手の肉が切り裂かれる。梨割り、胴斬り、車斬り、輪切り、袈裟斬り、唐竹割り、思いのまま、ひょっとしたら円くも蛇行形にも切り裂けるかも知れぬて。……この赤朽葉の一剣に刃向える人間がこの世にあろうか」(同p.62)とまで言うのも、この術の威力を考えれば無理からぬことと言えましょう。
 しかし、かくも強力な術をふるう銭十郎でありながら、「任意車」によって筏織右衛門の乗り移った女人に再三撃退されてしまい、最後には本体に帰った織右衛門によって正面から倒されることになります。

鞆絵(忍法忠臣蔵)


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